5GMFの営業・広報担当として「日本の5G」を内外にアピール

企画委員会委員長代理 中村武宏

5GMFには4つの委員会があります。そのうち、技術委員会、アプリケーション委員会、ネットワーク委員会の3委員会は技術やユースケース的な議論・検討をします。一方、企画委員会では5GMFの委員会間の調整、国内外の5G関連の組織との対外的な連携を主なミッションとしています。企画委員会の委員長には東京大学の森川先生が就き、企画委員会の傘下の5G推進ワーキンググループで詳細の活動を進めています。

6月に発行した「5GMF White Paper」の作成でも、委員会間の調整は重要なミッションでした。各委員会がバラバラに動いて、統一性のない白書を作っても意味がありません。企画委員会では委員長連絡会などの機会も利用して、委員会間の意向や役割分担を整理、調整してきました。「5GMF White Paper」の発行は全委員会の成果ですが、その作成の裏側には企画委員会の調整機能が働いていたわけです。

対外的な団体との連携、調整の側面としては、企画委員会で国内外の様々な5G関係のイベント対応の調整を行い、5GMFの対外的な活動をサポートしてきました。また、海外の5G関係団体との議論を通じて、団体間の連携の道を探ってきました。これまでは基本的に情報交換が主でしたが、今後は5G実現に向けた具体的な連携が求められます。様々な団体や組織で5Gの実証実験などのアクティビティが具体化されており、そうした中で、実証実験に相互に協力したり、結果をシェアしたりすることが有益と考えています。このような活動を通じて、企画委員会は国際的な連携を推進し、5G実現と世界的な普及を促進していきたいと思います。

日本は、5Gでも先進的な位置づけにあると、世界の団体や組織、企業から着目されています。これまでの移動通信システムでも先行して最新のシステムを導入、商用化してきた実績がありますし、マーケットも世界で最も進んでいる国の1つです。5Gでも世界に先がけて新しいシステムを導入し、世界をリードできるような状況に持っていけたらいいと思います。

そのためには、日本として「どんな5Gワールドを作るか」「どんなサービスを5Gで提供するか」を発信していかなければなりません。5Gの基本的なコンセプトや技術の各論はこれまでも多く議論されてきましたし、3GPPでの標準化の俎上に乗ったことで国際的に連携して議論が進むでしょう。その上で、5Gで考えられるユースケースやサービスを日本から発信したいと思います。そのためには、移動通信の業界だけで話をしていてもダメです。様々な業界の方々と一緒に、2020年以降の5Gワールドの姿を考え、アピールしていく必要があります。

今後の5Gワールド実現に向けて様々な業界の人を引き込んで、複数の業界を巻き込むような形で「日本の5G」をドーンと突き進めるような状態を作りたいと思います。

とは言え、5GMFによる5Gの営業・広報活動は、これから始める段階です。ようやく名刺代わりの「5GMF White Paper」が出来上がりました。5Gでどんなことが出来て、どのような世界が考えられていて、みなさんの業界でもこんなことが出来るかもしれませんよ、ということを示せるようになったわけです。「5GMF White Paper」を片手に、様々な業界のリーダーやコンタクトパーソンに会うための策を練っているところです。まずは広く業界の方々にお声がけして、その中で優先度が高そうな業界があれば話を進めていきたいと考えています。自動運転やコネクテッドカー、IoT関連など、5Gとの親和性が高いと思われる業界には、積極的にアプローチしていきます。

5Gのキラーアプリは何かとよく聞かれますが、過去の歴史から言っても新システム導入時にキラーアプリを最初から見出すことは非常に難しいことです。それでも様々な業界の方々と連携して、5Gのキラーアプリの種をたくさん蒔いて、その中から新しいユースケースやサービスの芽が出てくることに期待したいと思います。今から検討しておかないと、新しい芽が出てくることはありません。伸びてきた芽を育てて、日本が世界をリードできるようにしていきたいと思います。

5Gには、多くの誤解があります。「高い周波数を使わなければならない」「高周波数帯を使うと電波が飛ばないので多くの基地局を設置しなければならない」といったもので、そのためにコストがかさむと考える方も多いようです。しかし、実際には5Gで実現しようとするユースケースやサービスは、4Gまでの技術で実現するには5Gを使うよりはるかに多くのコストがかかります。様々な業界の方々に、そうした誤解を解いて、ウィンウインになるように調整するのが、企画委員会の役割とも言えます。企画委員会が5Gの営業・広報担当として、みんなで2020年代の新しいサービスに先鞭を付けていけるようにするために、一歩先ではなく、二歩、三歩先を考えたアイデア出しのきっかけを作っていきたいと思います。5Gワールドの実現のために、「みんなでぶっ飛んだ発想を出していきましょう」とお伝えしたいと思います。