5GMF事務局長の独り言

第5世代モバイル推進フォーラム 事務局長 佐藤孝平

第5世代移動通信システム(5G)は「エンドツーエンドの品質提供」というところからスタートしています。一方、インターネット回線は、ご存じのようにベストエフォート型サービスですから、5Gでインターネット回線を利用する場合、どこかでまたは何かでそれを補償または改善する局面が必要になるかもしれません。場合によっては、インターネット回線は使えないという5Gサービスもあるかもしれません。

「自動運転」の実現のために5Gの利用が検討されていますので、それを例に挙げて前述のことを説明します。従来型カーナビゲーションでは、電子的に自動車の走行時に現在位置や目的地への経路案内を行うシステムのディスプレイや音声ガイダンスに従って、ドライバーは自動車を運転していますので、カーナビゲーションシステムと自動車の運転は直結していません。ところが究極の自動運転では、ドライバーが自動車の加速・操舵・制動に全く関与しない、通信を含めた自動走行システムが全ての操作を行うことになると考えられております。従って、このような安全に直結するシステムがベストエフォート型では大きな問題になります。このように、サービスの種類や分野によって性能・要求条件が異なってくるのが5Gの面白いところ、エキサイティングな点でしょうか。そもそも車の運転は複数の車や周辺環境を巻き込んだ典型的な協調行動ですが、これが自動運転になると、クラウド上にある人工知能がこの協調行動を司り、様々なセンサーと情報のやり取りを行うことになると想定されています。自動運転が5Gの典型的なユースケースのひとつになると期待しています。

第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)では、総務省の「電波政策2020懇談会」の検討状況を踏まえて、5Gの利活用分野を9つの産業分野に分けて、その一つ一つに対して具体的な絵を描き始めました。「エンドツーエンドの品質提供」は、私たちとしても極めて大きな宣言であり、ハードルはかなり高いと理解しています。そのためにも、様々な業界からのリクワイアメントを必要としています。

5GMFには設立以来、高い技術レベルを誇るオペレータおよびベンダー企業の皆様に参画いただいています。2017年度後半から本格的に稼働する実証実験のためには、様々な業界の皆様との技術およびマーケティングのディスカッションが急務です。様々な業界を横断した意見交換を行っていくことで、今までは思いつかなかったビジネスの可能性をご提供できる場として5GMFをご活用いただける用意があります。加えて5Gにおいては日本市場の特殊性が逆に海外に対する新しい価値創出になる可能性を秘めています。この動きは単に2020年の東京オリンピックパラリンピックで使えれば良いということではなく、その10年、20年先を睨んだ運動体として活動し続けるということになるはずです。分野によっては本当の5Gのパフォーマンスが完成するのはそれくらい先になる可能性もあります。

5GMFでは、特にIoTを推進する企業の皆様の積極的な参加・ご支援ご協力をお待ちしております。