ビジネス戦略を構築するためのコミュニケーションの場として

企画委員会 委員長 森川博之

5Gは日本の情報通信産業に漂っている閉塞感を打破する可能性を秘めています。高品質な要素技術を日本はすでに保持しているので、あとはその技術をどう展開して社会に出していくべきかが焦点になるわけですが、5G普及のこのタイミングこそその絶好の機会だと考えます。特にIoTという、産業セグメントをスマート化していく動きを後押しする技術として欠かせないものになることは間違いありません。但し、通信事業者としてはそのための通信コストをぐっと下げなければなりません。そうでないと誰も使ってくれない。従って、通信事業者がコストを下げたくなるためのインセンティブデザインが重要になります。これがうまく回り始めると「生産性の向上と価値の創出」という日本経済の成長にも資する要素技術になってくるわけです。当然、地方創生などにも寄与していくことになるでしょう。

企画委員会には他の委員会を技術開発“以外”でつなぐというミッションがあります。具体的にはビジネス視点の提供及びディスカッションがメインの活動になります。「この技術は誰に売れるだろう」「この技術は誰と組んで、どうやって一緒にやっていけるか」「この技術ニーズがマーケットに潜在的にあるのか否か」といった議論を行います。

他の分科会において極めて重要な「標準化」という作業はこの企画委員会においてはプライオリティが低い、と申し上げておきます。ビジネス戦略の構築、すなわち「儲かること」を主軸に考えていきたいのです。つまり戦略と戦術を構築するための「場」としてご活用いただけると考えています。技術者の方のみならず、技術のことに疎い経営者の方々も参画できる場にしていきたい。そのようにしてコミュニケーションで人間関係をかき混ぜていく、という側面もあります。

良質なコミュニケーションに適切なコストをかけることが、下手をすると技術開発そのものに対する投資よりもレバレッジが効くことがあるのは特に経営者の方であればご理解いただけるだろうと考えます。併せてサブテーマとして、全世界的な知財の金銭的価値の低下傾向にどのように歯止めをかけることができるか、といった議論も予定しています。

ぜひ企画委員会へお越しください。