事務局長から新任のご挨拶

第5世代モバイル推進フォーラム 事務局長
大村好則

2019年7月9日に開催されました第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)の定時総会において、吉田 進会長から事務局長の指名を受けました。光栄であるとともに大役に身の引き締まる思いです。これまで、佐藤前事務局長の下でフォーラムの設立から5年間事務局次長を務めておりました。これまでのフォーラムの歩んだ道程に思いを馳せますと、誠に感慨深いものがあります。

2014年のフォーラム設立当時を振り返りますと、5GMFは、5Gのキーコンセプトとして、「エンドツーエンドの品質提供(Satisfaction of End-to-End Quality)」と「究極の柔軟性の提供(Extreme Flexibility)」の2つを提唱しました。4Gまでの無線やネットワークの制約からベストエフォート品質や均質で一律な品質の提供から、5Gではエンド・エンドで品質の保証を提供し、多様かつ変動の大きな品質を柔軟に提供できる能力の実現を目指すものです。究極の柔軟性の実現の方法としては、拡張ヘテロジニアス・ネットワークと、ネットワークのソフトウェア化の重要性を指摘しました。これらを完全に実現するには、極めてハードルの高い目標ですが、制度整備や運用環境等も考慮したシステムの進化を進めることにより、真の5Gサービスの実現を目指すことの重要性は、今以って変わらないのではと考えております。

これまでの5GMFの主な歩みは、5Gの研究・技術開発の活動をベースに周波数の国際協調や無線インターフェースの国際標準化等を中心とした4Gまでの経験を活かせる活動でした。これからは、新たな制度として導入されるローカル5G等の5G周波数を利用した電波システムによる、地方展開や産業利用の普及促進の活動により、地域課題の解決に取組むことも重要な活動の一つになります。5GMFの活動に大きなフェーズチェンジを迎えたと考えられます。これまでは主にオペレータを中心として全国型5Gサービスの普及促進が進められてきましたが、これに加え、ベンダー、ソリューション企業等の他に、地場産業、地方自治体、ICT推進団体、地元コンサル企業等々の新たな関係者と連携した活動を開始することになります。これこそまさに5Gの利活用推進の中で、吉田進会長が提唱した「Crossover Collaboration」を実践することになります。

5GMFでは、先の総会で、地域利用推進委員会(委員長:大阪大学 三瓶政一教授)とセキュリティ調査研究委員会(委員長:慶應義塾大学 手塚悟教授)を新たに設置しました。今後は、吉田進会長を先頭に、新委員会を両輪として、企画委員会、技術委員会、アプリケーション委員会、ネットワーク委員会が連携し、新たな体制で課題に挑戦することになりました。

第5世代モバイル推進フォーラム 事務局長 大村好則

5Gの普及促進のために設置された5GMFは、産学官が一体となり、多くの企業の専門家、学識経験者、関係官庁に加え、地方自治体等の新たな会員が加わり、さらに大きなオールジャパンの力を結集する体制となります。今後とも地域や産業利用の様々な要求条件を的確に捉え、5Gサービス利用者の期待に応え、着実に活動を実施していくことに努めたいと考えております。

特に5Gを利用し様々な課題にチャレンジする企業や自治体・団体等の皆様の積極的な参加を、5GMF事務局を代表して、心よりお待ちしております。