5G国際シンポジウム2020概要報告

総務省は、2020年の第5世代移動通信システム(5G)の実現に向けた取組の一環として、様々な利活用分野の関係者が参加する5G総合実証試験の今年度の成果等を発表するため、「5G国際シンポジウム2020~5Gが創る未来~」をテーマとした、国際シンポジウム(共催:第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)及び一般社団法人電波産業会(ARIB)、後援:一般社団法人情報通信技術委員会(TTC))を2月19日及び20日に開催しました。

本国際シンポジウムでは、今年度の5G総合実証試験の成果等を広く国内外に発表するとともに、5Gが実現する世界を来場者に体感していただくために、会場内において5G総合実証試験に関する展示・デモを実施しました。また、5Gがもたらすインパクトについて共有し、さらにその実現を加速するための課題等について議論するために、5G利活用分野の関係者によるプレゼンテーション・パネルディスカッションを行いました。

2日間で1000名近い参加者があったとともに、海外からアジア3カ国・地域(トルコ、インドネシア、韓国)や大学・企業等の5G関係者などが参加し、活発な議論が行われたシンポジウムとなりました。

なお、開催にあたり、新型コロナウイルス対応に万全を期すため、参加登録者への注意喚起のメールの送信、会場へのアルコール消毒液の設置とその利用を促す張り紙、体調不良者が出た場合の対応マニュアル整備等を行ないました。

1. 日付・場所:

日付:2020年2月19日(水)及び2月20日(木)
場所:東京・有明 TFTホール(TFTビル西館2F)
講演会場:TFTホール1000、展示会場:TFTホール500およびホワイエ

参加者:約920名(1日目約470人 2日目約450人)

2. シンポジウム概要

開会にあたり、主催者を代表して総務省 田原 康生 電波部長からご挨拶の後に、第5世代モバイル推進フォーラム 吉田 進 会長(京都大学 名誉教授)から基調講演が行われました。

総務省 電波部長 田原 康生 氏(左)、5GMF会長 京都大学 名誉教授 吉田 進 氏(右)
総務省 電波部長 田原 康生 氏(左)、5GMF会長 京都大学 名誉教授 吉田 進 氏(右)
Verizon社 Sumeet Singh 氏
Verizon社 Sumeet Singh 氏

【招待講演1】
「The 5G Revolution:Creating New Possibilities」というテーマで、米国Verizon社のBig Data, AI and Location Platforms の Vice PresidentであるSumeet Singh 氏より、5Gの特性と、期待される応用分野、5Gのエッジコンピューティングの可能性、5G活用のプラットフォームの構築など、Verizon社の様々な取り組みの紹介がありました。

山口県知事 村岡 嗣政 氏
山口県知事 村岡 嗣政 氏

【招待講演2】
「地方におけるICTの取組と5Gへの期待」というテーマで、山口県知事 村岡 嗣政 氏より、昨今の山口県の課題、クラウド、VR、AIなどを活用した、山口県におけるICTの取り組み、医療の遠隔サポートなどにおける5Gへの期待、地方創生に向けた全国知事会の取り組みなどの紹介がありました。

(1)第1部:5G総合実証試験の成果
冒頭、5GMF 5Gシステム総合実証試験推進グループ(5G-TPG)奥村リーダから総務省が進める5G総合実証試験の概要の説明がありました。それに続き、以下の4つのセッションでのプレゼンテーションにより、各実証実験の成果を説明しました。

司会:奥村 幸彦 氏 5GMF 5G-TPGリーダ

《第1セッション》
・「屋外環境における5G超高速通信を用いたサービス実証試験」
岡田 隆 氏 株式会社NTTドコモ

・「移動時かつ複数基地局、複数端末の環境下における超高速通信の実現」
一瀬 正則 氏 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

《第2セッション》
・「複数基地局、複数端末の環境下で上り超高速通信を可能とする第5世代移動通信
システムの実証試験の紹介」
松永 彰 氏 KDDI株式会社

・「屋内環境での第5世代移動通信システム実証試験」
横山 浩之 氏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所

《第3セッション》
・「5G高信頼・低遅延通信を用いた自動運転実現にむけた実証実験」
吉野 仁 氏 Wireless City Planning株式会社

・「5G多数同時接続の早期導入のための実証試験」
田島 裕輔 氏 Wireless City Planning株式会社

《第4セッション》
・「5G総合実証試験における電波伝搬特性の調査について」
北尾 光司郎 氏 株式会社NTTドコモ

(左から)奥村 幸彦 氏、岡田 隆 氏、一瀬 正則 氏、松永 彰 氏
(左から)奥村 幸彦 氏、岡田 隆 氏、一瀬 正則 氏、松永 彰 氏
(左から)横山 浩之 氏、吉野 仁 氏、田島 裕輔 氏、北尾 光司郎 氏
(左から)横山 浩之 氏、吉野 仁 氏、田島 裕輔 氏、北尾 光司郎 氏

(2)第2部:5Gサービスの実現

【パネルディスカッション】
携帯電話事業者各社が見据える5Gサービスの展望について、各社の5G事業展開の方向性、具体的なサービス・アプリケーションの内容等についてプレゼンテーションがあり、続いて、5Gにおけるビジネスモデル、普及のための課題、グローバルな視点における日本の5Gの進捗状況、5Gにより業界内外の連携はどう変わっていくか等に関するパネルディスカッションが行われ、それぞれについて各社の見解が示されました。

モデレータ:関口 和一 氏 株式会社MM総研 代表取締役所長
中村 武宏 氏 株式会社NTTドコモ 執行役員
小西 聡 氏  KDDI株式会社 技術統括本部 モバイル技術本部 副本部長
野田 真 氏  ソフトバンク株式会社 モバイルネットワーク本部長
佐藤 祐介 氏 楽天モバイル株式会社 執行役員

5G国際シンポジウム2020概要報告

(左から)関口 和一 氏、中村 武宏 氏、小西 聡 氏、野田 真 氏、佐藤 祐介 氏
(左から)関口 和一 氏、中村 武宏 氏、小西 聡 氏、野田 真 氏、佐藤 祐介 氏

(3)第3部:ローカル5Gへの期待

総務省 地域通信振興課長 磯 寿生 氏
総務省 地域通信振興課長 磯 寿生 氏

【パネルディスカッション】
冒頭、総務省 磯 寿生 地域通信振興課長よりローカル5Gの政策について概要説明がありました。それに続いて、自治体・有識者・ベンダからそれぞれの現場における課題とローカル5Gのユースケースについてプレゼンテーションがあり、今後地域に根差すローカル5Gの在り方や普及の進め方、導入に係る課題と解決策等について、活発なディスカッションが行われました。

モデレータ:三瓶 政一 氏 大阪大学 教授
(5GMF 地域利用推進委員会 委員長)
磯 寿生 氏  総務省 情報流通行政局 地域通信振興課長
黄瀬 信之 氏 岩見沢市 企画財政部情報政策推進担当次長
小池 聡 氏  ベジタリア株式会社 代表取締役社長
松田 圭太 氏 前橋市 情報政策担当部長
神田 隆史 氏 5GMF 地域利用推進委員会 委員長代理

5G国際シンポジウム2020概要報告

(左から)三瓶 政一 氏、磯 寿生 氏、黄瀬 信之 氏、小池 聡 氏、松田 圭太 氏、神田 隆史 氏
(左から)三瓶 政一 氏、磯 寿生 氏、黄瀬 信之 氏、小池 聡 氏、松田 圭太 氏、神田 隆史 氏

(4)第4部:5Gの活用における企業間連携

【パネルディスカッション】
5Gが実現する超高速、多数同時接続、超低遅延によってどのように進化・拡張していくか、メディア、MaaS、AR・Eスポーツ、決裁の各領域の有識者がプレゼンテーションを行いました。続いて、それぞれの分野における課題がどう解決され、さらに少し先の未来ではどのようなサービスの形になっていくか等について、様々な角度から興味深いディスカッションを行いました。

モデレータ:岩浪 剛太 氏 株式会社インフォシティ代表取締役
(5GMF アプリケーション委員会 委員長)
小池 政秀 氏 株式会社サイバーエージェント 常務取締役 / 株式会社AbemaTV 取締役 [メディア]
成迫 剛志 氏 株式会社デンソー モビエレ事業グループ デジタルイノベーション室長 [MaaS]
福田 浩士 氏 株式会社meleap 代表取締役社長 [AR・Eスポーツ]
柳瀬 将良 氏 PayPay株式会社 事業推進室室長 [決済]


5G国際シンポジウム2020概要報告

(左から)岩浪 剛太 氏、 小池 政秀 氏、 成迫 剛志 氏、 福田 浩士 氏、 柳瀬 将良 氏
(左から)岩浪 剛太 氏、 小池 政秀 氏、 成迫 剛志 氏、 福田 浩士 氏、 柳瀬 将良 氏
ARIB 開発センター長 星 克明 氏
ARIB 開発センター長 星 克明 氏

閉会にあたり、一般社団法人 電波産業会 星 克明 開発センター長より挨拶がありました。

3. 5G総合実証試験の展示・デモ概要

シンポジウム会場の隣に、5G総合実証試験の展示ブースを設置しました。
2017年度から開始した5G総合実証試験のこれまでの成果と、2019年1月に開催した5G利活用アイデアコンテストの結果等を踏まえ、5Gによる地域課題の解決に資する利活用モデルに力点を置いた5G総合実証試験の展示を行い、村岡山口県知事、田原総務省電波部長がご視察されるとともに、多数の来訪者があり熱心に質問する姿が見られました。

(左から)【GⅠ NTTドコモ】屋外における5G超高速通信、【GⅡ NTTコミュニケーションズ】移動環境における5G高速通信
(左から)【GⅠ NTTドコモ】屋外における5G超高速通信、【GⅡ NTTコミュニケーションズ】移動環境における5G高速通信
(左から)【GⅢ KDDI】ニュースポーツ「スラックライン」大会の活性化、【GⅢ KDDI】高精細360度VR映像を用いた観光業促進、【GⅢ KDDI】統合施工管理システム
(左から)【GⅢ KDDI】ニュースポーツ「スラックライン」大会の活性化、【GⅢ KDDI】高精細360度VR映像を用いた観光業促進、【GⅢ KDDI】統合施工管理システム
(左から)【GⅢ KDDI】山岳登山者見守りシステム、【GⅣ ATR】軽種馬育成の高効率化、【GⅣ ATR】酪農:畜産業の高効率化
(左から)【GⅢ KDDI】山岳登山者見守りシステム、【GⅣ ATR】軽種馬育成の高効率化、【GⅣ ATR】酪農:畜産業の高効率化
(左から)【GⅣ ATR】選手・観客の一体感を演出するスポーツ観戦、【GⅤ WCP】トラック隊列走行/車両の遠隔操作、【GⅥ WCP】5G for i-Construction/スマート物流
(左から)【GⅣ ATR】選手・観客の一体感を演出するスポーツ観戦、【GⅤ WCP】トラック隊列走行/車両の遠隔操作、【GⅥ WCP】5G for i-Construction/スマート物流