5G国際シンポジウム2019概要報告
本講演の模様は、下記サイトにてアーカイブ(VOD)を閲覧できます。
ぜひご視聴ください。
URL:https://5g.bitmedia.ne.jp/movie/
総務省は、2020年に実現が期待されている第5世代移動通信システム(5G)について、「5Gが変える 人、モノ、社会。」をテーマとした、5G国際シンポジウム(共催:第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)及び一般社団法人電波産業会(ARIB)、後援:一般社団法人情報通信委員会)を1月29日及び30日に開催しました。
本シンポジウムでは、総務省が昨年度から実施している「5G総合実証試験」の成果を広く周知するとともに、5Gをテーマとした地方創生とパートナー連携、5Gの国際展開に関するパネルディスカッションが行われました。また、1月11日、総務省が実施した「5G利活用アイデアコンテスト」の受賞者5名によるプレゼンテーションが行われました。
併せて、同会場において5Gが実現する世界を来場者に体感していただくために、総合実証試験に関する展示・デモが実施されました。
1000名を超える参加者があったとともに、海外からアジア6カ国・地域(タイ、トルコ、インドネシア、マレーシア、台湾、韓国)やフランスの主管庁・大学・企業等の5G関係者など31名の参加があり、国際色豊かなシンポジウムとなりました。
1. 日付・場所:
日付: 2019年1月29日(火)及び1月30日(水)
場所: 東京お台場 国際交流館プラザ平成
参加者:約1000名
2. シンポジウム概要
開会にあたり、主催者を代表して総務省 佐藤ゆかり副大臣からご挨拶の後に、第5世代モバイル推進フォーラム 吉田 進会長(京都大学 名誉教授)から基調講演が行われました。
(1)第1部:地方創生とパートナー連携
【地方課題解決、地域活性化に資する5G利活用アイデア】
総務省 中里 学 新世代移動通信システム推進室長による「5G利活用アイデアコンテスト」の概要説明に続き、下記の受賞者によるプレゼンテーションが行われました。最後に小林 史明 前総務省政務官から、本コンテストの意義や今後の活動に対しての期待を込めた挨拶をいただきました。
・総務大臣賞 「5Gの特性を活かした高技能工員の労働環境改善・労働安全確保・技術伝承の実現」
愛媛大学大学院理工学研究科分散システム研究室
・地域課題解決賞 「同時多接続と低遅延が可能とする近未来の雪害対策」
永平寺町総合政策課
・5G特性活用賞 「山岳登山者見守りシステムにおける登山者発見・空間共有機能の実現」
不破 泰 氏
・審査員特別賞 「新しい一体感をもたらす5Gスポーツ観戦」
久保 竜樹 氏
・審査員特別賞 「広範囲同時センシング映像の5G大容量データ転送による有害鳥獣対策」
㈱沖縄エネテック
【特別講演】「5G時代におけるIoT・AI活用方法と組織戦略」
メディアスケッチ㈱ 代表取締役 伊本 貴士 氏から、様々な課題解決のためIoTとAIの活用が期待されているが、そこに5Gが導入されることで価値の高い新たなサービス(アプリケーション)の可能性があること、また、5Gの特性を生かして、IOTが中央管理型のシステムからブロックチェーンにシステム構成を変えることで、新たな価値が生まれる可能性があること等について講演がありました。
【パネルディスカッション】「5G時代におけるIoT・AI活用方法と組織戦略」
モデレータ:岩浪 剛太 ㈱インフォシティ代表取締役(5GMFアプリケーション委員長)
パネリストの大友 真吾 氏(Cyber Z)、木村 和之 氏(小松製作所)、末吉 康則 氏(クボタ)及び田中貞朗 氏(セコム)から、各社の取組や利活用分野としての5Gに対する期待等についてプレゼンテーションが行われました。その後、通信料金体、当面の提供エリア、従来システムから5Gへの移行におけるシステム共存・切替のコスト面等の留意点等についてのディスカッションを通じて、5Gへの期待と連携についての認識が共有されました。
(2)第2部:5G総合実証試験の成果発表
進行役の安達 文幸 東北大学 特任教授(研究)・名誉教授から5G総合実証試験の意義や概要等について紹介があった後、各実証試験の担当者から以下の成果発表がありました。
・「屋外環境における5G 超高速通信の実証試験」
奥村 幸彦氏 ㈱ NTT ドコモ
・「高速移動環境における5G 高速通信の実証試験」
一瀬 正則氏 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ㈱
・「5G による超高速アップリンクの応用事例の実証試験」
松永 彰氏 KDDI㈱
・「屋内環境における 5G 超高速通信の実証試験」
横山 浩之氏 ㈱国際電気通信基礎技術研究所
・「自動運転を支援する5G 超低遅延通信実証試験」
吉野 仁氏 ソフトバンク㈱
・「5G の多数同時接続を活用した実証試験」
岡廻 隆生氏 Wireless City Planning㈱
・「東広島市における5G スマートオフィスの取り組みについて」
橋本 光太郎氏 東広島市 情報政策課長
・「5G を活用した救急医療の高度化」
大野 誠司氏 前橋市 情報政策担当部長
(3)第3部:5Gの国際展開
【パネルディスカッション】「5Gの電波伝搬」
モデレータ:秦 正治 岡山大学名誉教授
パネリストの欧州 エリクソンのHenrik Asplund氏、韓国電子通信研究院のHyunKyu Chung氏、NTTドコモの今井 哲朗氏から各地域で行っている5Gの伝搬伝搬試験に関するショートプレゼンテーションがあり、続いて、「5G電波伝搬」の特徴などの知見や今後の研究課題についてディスカッションされました。
【パネルディスカッション】
「5Gグローバル展開への日本の挑戦~新たなビジネスモデルは何か~」
モデレータ:日本経済新聞社 編集委員の関口 和一 氏
パネリストとしてグローバルベンダーの6社から岩男 恵 氏(サムスン電子ジャパン)、島田 啓一郎 氏(ソニー)、根本 健二 氏(クアルコムジャパン)、藤岡 雅宜 氏(エリクソン・ジャパン)、水野 晋吾 氏(富士通)、渡辺 望 氏(日本電気)に登壇いただき、どんな分野で競争・協調するのか、5Gで日本が巻き返すための方策等について、様々な角度から活発なディスカッションがありました。
閉会にあたり、ARIB松井 房樹 専務理事より挨拶がありました。
3. 5G総合実証試験の展示・デモ概要
シンポジウム会場の隣、メディアホールを中心に、5G総合実証試験の展示ブースを設置しました。
併せて、5G利活用アイデアコンテストに受賞したパネル展示や、野村総合研究所及び三菱総合研究所から地方とのパートナー連携をテーマとして展示がありました。
多数の来訪者があり熱心に質問する姿が見られました
なお、5G国際シンポジウム及び5G総合実証試験について、NHKの取材があり、1月30日の夕方、首都圏ニュースにおいて、『暮らしをかえる!?「5G」の可能性』というテーマで紹介されました。