5G Huddle 2019 東京会合の概要

WWRF、5GMF共催、総務省後援により、2019年5月14日青山TEPIAに於いて「5G Huddle 2019 東京会合」が開催されました。5G Huddleは、WWRF(Wireless World Research Forum)に併せて開催されるもので、今回は「The 5G dream becomes a reality – Can it keep its promises ?」をテーマに、国内外から有識者が集まり議論がおこなわれました。

【概要】
1. イベント 5G Huddle 2019 東京会合
2. テーマ  The 5G dream becomes a reality – Can it keep its promises ?
3. 主催   WWRF、5GMF共催、総務省後援
4. 日時   2019年5月14日(火)9:00~18:00
5. 場所   青山TEPIA、4階TEPIAホール
6. 参加者  国内外から約100名

【主な内容】
オープニングでは、5GMF事務局長の佐藤孝平氏とWWRF議長のNigel Jefferies氏から開会の挨拶があり、ITU無線通信局長のMario Maniewicz氏からのビデオメッセージのあと、NTTドコモの中村武宏氏から「Update of 5G Deployment plan in Japan」と題して、日本における最新の5G導入の準備状況としてVerticalと連携するサービスに対する取組み、導入初期の5Gの実像を紹介する基調講演がありました。

セッション1では、「Where are we with 5G deployment and where do we want to go ?」と題して、韓国、欧州、米国、アフリカにおける5Gの導入状況を紹介するプレゼンテーションがありました。韓国では平昌オリンピックを契機に2018年から5Gの商用化が始まっているとの情報に加え、韓国における今後の5G導入計画、デバイス開発、B2Cサービス、料金プランの現状について報告がありました。欧州では2020年を商用化の重要な年と位置付けているとの情報に加え、5G導入計画、制度化・周波数割当て状況、各国地域の状況、モビリティについて報告がありました。米国からは、各通信事業者のサービス状況と5G導入計画と取組みについて報告がありました。アフリカからは、南アフリカにおける5G導入状況が紹介され、FWA、遠隔医療・遠隔教育など5Gの応用分野や周波数割当計画について報告がありました。

セッション2では、「Learning from real-world experiences – The role of trials and test-beds in shaping the 5G vision」と題して、台湾、英国、日本から講演がありました。台湾からは、5Gの活動状況として、周波数政策、エンドトゥエンドシステム、化学工場での実証試験といった応用に対する取組みについて報告がありました。英国からは、実証試験やテストベットに関するエコシステムの構築や推進状況として、6つのプロジェクトなどの取組みが報告されました。日本からは、KDDIの黒澤葉子氏がビデオを交えて建機の遠隔操作などKDDIの取組みを紹介するとともに、日本の5G実証試験の状況、2019年度の実証試験計画などが報告されました。質疑では遅延の許容値は応用分野に大きく依存するといった議論がありました。

セッション3では、「5G Roundtables – Paving the way to deliver the promises of 5G」と題して4つのパネルディスカッションがおこなわれました。

「3.1 5G Infrastructure and Connectivity」では、NTTドコモの中村武宏氏がモデレータとなり、インフラと接続性について議論が行われました。スペクトラムの需要と、各国で実際に使われているスペクトラムとの間に差があり、さらに多くのスペクトラムの割当が必要とされていることが指摘されました。都市部と郊外での効率的なネットワーク構築、その実現に必要となる周波数帯やテクノロジーに関する議論もありました。

「3.2 5G Standards and Coordination」では、5GMFの佐藤孝平氏がモデレータ、富士通の中村隆治氏他がパネリストとなり、国際標準化と協調について議論されました。これまでの国際標準化のプロセスを踏まえて、各パネリストから意見が表明され、リリース15の次のステップ、5Gはこれまでの世代と何が異なるのか、どうすれば国際標準が調整され一貫性を持ったものになるか、といった議論が行われました。

WWRFとITU-APTのMoU締結セレモニーをはさみ、「3.3 Business models and use case」では、ソフトバンクの吉野仁氏他がパネリストとなり、5Gのビジネスモデルについて議論されました。ビジネス環境の構築、最も魅力的なビジネスを創出する異業種は何か、政府やステークホルダーの役割について議論が行われました。

「3.4 Building confidence in 5G (Security, Reliability)」では、楽天モバイルのAnand Prasad氏がモデレータ、ファーウェイの赤田正雄氏他がパネリストとなって、5Gの信頼性の構築について議論されました。セキュリティと信頼性を確保するための要素は何か、4Gから5Gでセキュリティの違い、ネットワークの信頼性を測る手法などについて議論が行われました。

最後に、WWRF議長のNigel Jefferies氏が閉会の挨拶をおこない、本イベントは盛況の内に終了しました。

なお、WWRF創設メンバーの一人で、WWRFの初代議長であると共に、WWRFと日本のモバイルITフォーラムとの協力関係の推進に尽力したNokiaのWerner Mohr氏がWWRFのフェローに就任しました。

第6回 5G Huddle 東京会合
第6回 5G Huddle 東京会合
佐藤孝平氏(5GMF事務局長)(左)Nigel Jefferies氏(WWRF議長)(右)
佐藤孝平氏(5GMF事務局長)(左)Nigel Jefferies氏(WWRF議長)(右)
中村武宏氏(NTTドコモ)(左)黒澤葉子氏(KDDI)(中)中村隆治氏(富士通)(右)
中村武宏氏(NTTドコモ)(左)黒澤葉子氏(KDDI)(中)中村隆治氏(富士通)(右)
吉野仁氏(ソフトバンク)(左)赤田正雄氏(ファーウェイ)(右)
吉野仁氏(ソフトバンク)(左)赤田正雄氏(ファーウェイ)(右)
Fellowship Awardを受賞されたWerner Mohr氏(Nokia)
Fellowship Awardを受賞されたWerner Mohr氏(Nokia)