第7回グローバル5GイベントおよびEuCNC2019の概要報告

2019年6月17日(月)から21日(金)まで、Valencia Conference Center(スペイン)において、5G-IA主催で第7回グローバル5Gイベントが、EuCNC2019(European Conference on Networks and Communications)と共に開催されました。日本、欧州、米国、中国、韓国、ブラジルの5G推進団体により持回りで年1回の開催となった今回のグローバル5Gイベントは「Creating the Smart Digital Future」を、EuCNC2019は「Enabling Smart Connectivity」をテーマにそれぞれ開催されました。

今回のグローバル5Gイベントでは、既に商用化が始まっている韓国、米国などから、より具体的なサービス内容が報告されるとともに、世界各国の多種多様なユースケースに関する取組みの報告が増加しました。また、早くもBeyond 5Gや6Gのコンセプト形成に向けた議論が活発におこなわれたことも印象的でした。

併せて、5GMFは会場内に展示ブースを出展し、日本の5G導入状況や5G総合実証試験を紹介するパネルやビデオ展示をおこなうと共に、昨年度の5G総合実証試験の成果を纏めたブックレットの配布をおこない、特に5G実証プロジェクトを進めている欧州関係者から高い関心が示されました。

■主な内容

最初に主催者である5G-IA議長のDr. Colin WILLCOCK(5G-IA)から開会の挨拶があり、続いてスペイン経済産業省、電気通信および情報技術総局のMr. Antonio FERNANDEZ-PANIAGUA他から挨拶がありました。

オープニングセッションでは、Dr. Colin WILLCOCK(5G-IA)がモデレータとなり、5Gのためのスペクトラム調和や政策について欧州委員会および4か国の政府代表から講演がありました。日本からは、総務省の中里学氏が「5G Progress and Challenges in Japan」と題して、日本の5G導入状況、5G総合実証試験、ローカル/プライベート5Gが紹介され、5Gは日々の生活、経済、社会を変えるポテンシャルがあることが報告されました。

続くキーノートスピーチでは、Orange(スペイン)のMr. Tomás ALONSOが「Orange Spain on the road to 5G」と題して5Gに対する取組みが紹介されました。講演では、突然ステージの奥にホログラムの人物が現れ、講演者と対談が始まりました。会場とオレンジの事業場を5G回線で結び、リアルタイムで会話するデモンストレーションをおこない会場を驚かせました。

セッション2では、Prof. Hyeon Woo LEE(DanKook University)がモデレータとなり「5G REGIONAL TRENDS」をテーマに、5GのR&D、実証試験、商用化に関する各国の状況について報告がありました。日本からは、NTTドコモの奥村幸彦氏が「5G System Trials in Japan」と題して、日本の5G実証試験の最新状況が報告されました。

続いて、Mr. Ruprecht NIEPOLD(Independent Spectrum Expert)がモデレータとなり「5G COMMERCIAL SUCCESS」をテーマにQ&Aがおこなわれました。モデレータから、各地域における商用化成功の条件は何か、成功のキーファクターは何か、また地域で商用化のタイミングは異なるのか等の質問があり、各地域からビジネス要因や社会的要因の指摘があり、日本からは、大村好則5GMF事務局長代行が、5Gの普及促進にあたり、超高齢化社会を迎える日本では、生産年齢人口の減少や地方活性化などの社会問題の解決に役立つとのメッセージを伝えることが成功に向け重要であるとの指摘がなされました。

2日目のセッション3では、Prof. Suncheol GWEON(5G Forum)がモデレータとなり「5G FOR BUSINESS」をテーマにバーティカルとの連携やサービス需要側の動きの側面等の講演がありました。日本からは、KDDIの黒澤葉子氏が「5G for Business」と題して、オープンイノベーションや建機の遠隔操縦の実証試験など、KDDIの取組みを報告しました。

セッション4では、Mr. Chris PEARSON(5G AMERICAS)がモデレータとなり「LOOKING FORWARD」をテーマに次世代のネットワークに関する報告がありました。モデレータから、次世代の検討を開始するにあたり、現状はBeyond 5Gまたは6Gのいずれと呼ぶかYes, Noの一言で答えるとの質問には、全員がBeyond 5Gとの答えであった。日本からは、KDDIの猪原涼氏が「Beyond 5G 〜Vison & Required Technology」と題して、5Gの展開を紹介したあと、5Gの更なる拡張と新たなコンセプトに分けてBeyond 5Gに必要な要件が報告されました。

ここで、中国IMT-2020代表のMs. Zhiqin WANG氏から、次回の第8回グローバル5Gイベントは、MWC上海2020に合わせて、2020年6月末に上海国際コンベンションセンターで開催することが宣言されました。

午後からはEuCNCとのジョイントセッションとなり、セッション5では、Mr. Yeqing DU(Huawei)がモデレータとなり「CROSS REGIONAL PROJECTS」と題して、地域を超えるプロジェクトについて、欧州、米国、中国、韓国、ブラジルからの報告がありました。

セッション6では、Mr. Maurizio CECCHI(Associazione P.I.I.U.)がモデレータとなり「5G KPI MEASUREMENT」をテーマに報告がありました。最後に富士通の中村隆治氏が「5G KPIs in real terms」と題して、実環境における5GのKPI測定について報告をこない、第7回グローバル5Gイベントは盛況のうちに閉会しました。

3日目から5日目はEuCNC2019となり、3日目と4日目の午前にEuCNCのキーノートスピーチとパネルが、3日目と4日目の午後と5日目の午前は、各専門分野に分かれてワークショップが開催されました。キーノートスピーチでは「Wi-Fi連携によるインターネットの信頼性」、「5G in Automotive」、「Completing the 5G Vision」、「5G – A Door Opener For 6G ?」をテーマに講演がありました。パネルでは「Beyond 5G」や「Future Connectivity and Network Security」をテーマに議論がありました。

また、会場では欧州における実証試験を中心に約70のブースが出展され、多様なユースケースに機器を開発しながら実証を進めている様子が分かる展示がおこなわれていました。5GMFブースでは、日本の5G導入状況や5G総合実証試験を紹介するパネルやビデオ展示をおこなうと共に、昨年度の5G総合実証試験の成果を纏めたブックレットをグローバル5Gイベントの主要メンバー他に配布しました。

Valencia Conference Center(スペイン)
Valencia Conference Center(スペイン)


5GMF展示ブース(左)、ホログラムを使った5G遠隔対談(右)
5GMF展示ブース(左)、ホログラムを使った5G遠隔対談(右)

中里学氏(総務省)(左)、奥村幸彦氏(NTTドコモ)(中)、大村好則氏(5GMF)(右)
中里学氏(総務省)(左)、奥村幸彦氏(NTTドコモ)(中)、大村好則氏(5GMF)(右)
黒澤葉子氏(KDDI)(左)、猪原涼氏(KDDI)(中)、中村隆治氏(富士通)(右)
黒澤葉子氏(KDDI)(左)、猪原涼氏(KDDI)(中)、中村隆治氏(富士通)(右)