CEATEC 2019「5Gスペシャルデー」の開催報告
総務省主催、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)と一般社団法人電波産業会(ARIB)共催により、10月16日(水)、千葉・幕張メッセ国際会議場にて、CEATEC 2019コンファレンスのプログラムとして、「5Gスペシャルデー」を開催いたしました。当日の会場は立見に加えて、会場外のサテライト会場での聴講者もでるほどの来場(午前約1600名、午後約800名)をいただきました。
午前の部「5Gummit」では、総務省総合通信基盤局電波部長の田原康生氏による主催者挨拶に続き、5GMF会長 吉田進氏(京都大学名誉教授)による基調講演が行われました。
キーノートセッションでは、「携帯電話会社のトップが語る『5Gへの取組と今後の展望』」をテーマとし、株式会社NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏から「5Gでより豊かな未来を」と題して、5Gで目指す世界観、ラグビーワールドカップにおける5Gプレサービス、パートナー企業と協創した5Gプレサービスの概要および2020年春からの5G商用サービス開始等が紹介されました。KDDI株式会社代表取締役社長の髙橋誠氏からは「5Gに関するKDDIの取組と今後の展望~ おもしろいほうの未来へ。Tomorrow, Together ~」と題して、5Gネットワーク構築、5G料金プラン、体験の拡張をテーマとして5Gを用いてパートナーとビジネス開発に取組む概要等が紹介されました。ソフトバンク株式会社代表取締役副社長執行役員兼CTOの宮川潤一氏からは「SoftBank 5G」と題して、5Gによる産業の高度化をめざして産業を中心とする5Gネットワークづくり、インフラシェアリングの取り組み、5Gプレサービスの概要等が紹介されました。楽天モバイル株式会社代表取締役社長の山田善久氏からは、「Rakuten Mobile」と題して、コアネットワーク、無線アクセスネットワークを仮想化した完全仮想化、制御の自動化、クラウド化した楽天モバイルのネットワークの特徴、それを生かした5Gネットワークへのスピーディな移行、様々な楽天グループサービスを5Gと掛け合わせた取り組みと可能性等が紹介されました。
続いて、株式会社MM総研代表取締役所長の関口和一氏をモデレータに迎え「一般ユーザや利活用企業の関心が高い事項」を中心に、グループインタビューが行われました。5Gの導入により、一般ユーザの生活や仕事はどのように変わるのか、料金プランはどうなるのか、各社のビジネスモデルはどう変化するのか、など、各携帯会社のトップへ次々と質問が行われ、日本の5Gが世界から遅れている訳ではないこと、5Gの特徴的な機能は時期を分けて導入されること等の日頃の疑問への回答があった他、各社の5Gに対する期待、新たなビジネスへの展望等が披露されました。
午前の部の閉会に際して、総務省総合通信基盤局電波部長の田原康生氏より挨拶をいただきました。
午後の部「5G国際セミナー2019」は、5G商用化に向けた「世界の最新動向」と「世界の5Gデバイスへの取組」をテーマに開催されました。総務省から5G導入への取組、商用化に取り組む世界の最新動向に関して、欧州・米国・韓国・日本から活動紹介がされ、最後にユーザにとって一番身近な5Gデバイスに関して、ソリューション、部品、無線チップ、映像機器、の各分野から世界の最新動向について講演がありました。
はじめに、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課長の荻原直彦氏から「5G Progress and Initiatives in Japan」の演題で5Gの総合実証試験、技術的条件、周波数の割当、ローカル 5Gなど、総務省による取組み概要が紹介されました。
「日本及び海外の動向」をテーマとしたセッションでは、欧州の取組について、European CommissionのTonnie de Koster 氏から「5G Deployment in the European Union’s Digital Single Market Europe」と題して、5G Potential、5G Action Plan 、Enabling regulatory environment for 5G、Global 5G roll-outおよび5G Cybersecurityなどの概要が紹介されました。米国の取組について、Verizon Communications Inc. Vice PresidentのSanyogita Shamsunder 氏から「5G Trends: USA」の演題でFirst to launch 5G 、5G Currencies、5G Verticals and Use Cases、5G challenges fuel the innovation pipelineおよび5G Labs partnerships cross industry innovationに関する取組み概要が紹介されました。韓国の取組について、KT CorporationのSeongkwan Kim 氏から「5G, Now a Reality2019」の演題で5G Roadmap of KT、KT 5G Services in 2018 PyeongChang OlympicsおよびKT 5G Commercial Servicesなどの概要が紹介されました。セッションの最後に、5GMF から5G実証試験推進グループのリーダーを務める株式会社NTTドコモの奥村幸彦氏から「5G System Trials in Japan」と題して、日本の5G実証試験などの概要が紹介されました。
「世界の5Gデバイスへの取組(ユーザ視点から何が、どう変わるのか!!!)」をテーマとしたセッションでは、HTC CorporationのVP of Global Sales StrategyであるCharles Huang 氏から「5G x VR」と題して、5G VR for consumer、5G VR for enterpriseおよび5G cloud VRなどの取組み概要が紹介されました。また株式会社村田製作所シニアマネージャーの松谷圭氏から 「RF Front-End Device Technologies for 5G」と題して、5G Requiements、RF FRONT-END DEVICES FOR 5Gに関して、Built-Im Filters in LTCC(Low Temperature Cofired Ceramics)および Quartz Waveguide Filter等の取組み概要が紹介された。Qualcomm Inc.のEdward G. Tiedemann, Jr. 氏から「The Future of 5G」と題して、Using 3GPP-technologies for unlicensed spectrum、A platform for new applications and innovations、5G modem-RF solutions、Optimization through co-design of hardware and software、Accelerating the expansion of 5G network with small cells、Disaggregated Radio Access NetworksおよびIndustrial IoTなどの取組み概要が紹介されました。最後に、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社代表取締役社長の岸田光哉氏から「5Gで進化する映像体験」と題して、5G時代のエンタテインメントを含めたソニーグループの取り組み概要が紹介されました。
最後に、一般社団法人電波産業会専務理事の松井房樹氏からの閉会挨拶がありました。
CEATEC「5Gスペシャルデー」は、来春に迫った商用サービスを前に、携帯事業者からの5Gへの取組や展望、ユーザー視点での5Gならではのサービスなどが取り上げられ、多くの来場者に5Gへの新たな可能性を感じさせる1日となりました。