【5G標準化最前線レポート】LTEとセットか5G単独か、標準化スケジュールも3GPPで意見が分かれる

中村 武宏(5GMF企画委員会委員長代理、NTTドコモ5G推進室長)
永田 聡(3GPP TSG RAN WG1議長、NTTドコモ5G推進室)

2016年9月時点の3GPPにおける5Gの議論で、注目されているのが5Gのスケジュールの調整だ。具体的には、「ノンスタンドアローン」と「スタンドアローン」の仕様化の順番をどうするかという議論である。

スタンドアローンとは、文字通り5Gのネットワークが独立して稼働する仕様である。一方のノンスタンドアローンとは、5Gがスタンドアローンでは動かない仕様である。これは現行のLTEとセットにして、デュアルコネクティビティを保たせることで、5Gを実現する。制御信号はLTEネットワークを介してやり取りし、実際のユーザーデータは5Gのネットワークでやり取りする形態である。

議論では、(1)ノンスタンドアローンを先行して仕様化し、その後にスタンドアローンの仕様化を進める、(2)ノンスタンドアローンとスタンドアローンを同時に仕様化する──の2つの意見に割れている。

3GPPの議論では、いずれにしても、最初にノンスタンドアローンの仕様化を進めて、早期の実用化を担保しようという方針が主流となっている。具体的には2017年中にノンスタンドアローンの物理レイヤーの仕様化を完了させる考えだ。Release 15は、2017年3月から18年6月の期間で仕様化を行う。ノンスタンドアローンはその中でも早期に仕様化を進める。

一方、スタンドアローンもRelease 15のうちに仕様化したい考えではある。ただし、そのスケジュールは2017年の1年をかけて決めていこうというスタンスだ。2020年に商用化を始めることを考えると、逆算して2018年には仕様化できていないと、間に合わない。2020年に始まる時点の5Gの姿は、これから1年あまりの間に一気に明確になっていくと考えられる。