第8回グローバル5Gイベントの開催概要報告

2021年10月14日(木)と15日(金)の2日間、中国IMT-2020推進グループ(IMT-2020 (5G) Promotion Group) の主催で、第8回グローバル5Gイベントが開催されました。昨年2020年7月に上海コンベンションセンターにて開催予定でしたが、コロナ禍のため1年延期となりました。また、本年についても、引き続き新型コロナ感染症防止の観点から、オンラインでの開催となりました。

グローバル5Gイベントは、日米欧伯中韓印の5G推進団体が本イベント開催のためのMultilateral MoUを締結しており、各団体が順番に年に1回開催しています。 

『第8回グローバル5Gイベントの開催概要報告』

■イベント概要
1. 名称  :The 8th Global 5G Event
2. 主催  :中国IMT-2020推進グループ
3. 会期  :2021年10月14日(木)、15日(金)
4. 開催方法:Zoomを用いたオンライン開催

■プログラムと日本からの登壇者

セッション 内容 日本からの登壇者
Day 1 10月14日
Welcome
19:00-19:10*
5G Trends and Policies
19:10-20:20*
各国・地域の5Gの動向と5Gの周波数政策の進捗状況 大村 好則 氏(5GMF 事務局長)
Beyond 5G
20:20-21:30*
5Gの現段階とその先の技術と標準化について 中村 武宏 氏(Beyond 5G白書分科会主査/株式会社NTTドコモ)
Day2 10月15日
5G Commercialization
19:00-20:10*
各国の5G商用化の状況 寺部 滋郎 氏(KDDI株式会社)
5G Solutions for Vertical Industries
20:10-21:20*
インダストリアル・インターネット、交通、メディアなどのバーティカル・インダストリーの課題、ソリューション、将来計画等 中村 隆治 氏(富士通株式会社)
5G for pandemic control
21:20-22:20*
パンデミック対策における5Gについて
22:20-22:25* 第9回グローバル5Gイベントの開催について 吉田 進 氏(5GMF 会長)
Closing remarks
22:25-22:30*

* 北京時間(日本は+1時間の時差)

■主な内容

<1日目>
最初に主催者であるIMT-2020推進グループ議長のZhiqin Wang氏から開会の挨拶があり、続いて中国工業情報化部(MIIT)情報通信開発局副局長のLiu Yulin氏から挨拶がありました。

セッション1では、オープニングに引き続きZhiqin Wang氏がモデレータとなり、米国、韓国、欧州、日本、ブラジル、インド、中国における5Gの導入・普及の状況、周波数割り当ての進捗状況についての発表がありました。日本からは、5GMF事務局長の大村好則氏から、「Deployment Strategy of Local 5G in Japan」と題して、日本における2025年度までの5Gのロードマップおよび5GMFの概要の説明に続き、日本の特徴的な取り組みであるローカル5Gについて、コンセプトと制度概要、周波数割り当てと免許申請状況、実証実験の取組の紹介がありました。ローカル5Gに関しては、高い関心が寄せられ、その取り組みのポイントについての質問と議論がありました。

セッション2は、欧州5G PPPにおける5G-IA(5G Infrastructure Association) 議長であるColin Willcock氏がモデレータとなり、中国、インド、欧州、ブラジル、日本、韓国における5Gの次の世代の通信方式であるBeyond 5Gについて、推進体制やロードマップ等の報告がありました。日本からは、Beyond 5G推進コンソーシアム白書分科会主査である株式会社NTTドコモの中村 武宏氏より、「Beyond 5G/6G Research in Japan」と題して、日本におけるBeyond 5G推進戦略およびロードマップ、Beyond 5G推進コンソーシアムの体制、白書分科会における取組内容とスケジュールについて紹介があり、特に白書について非常に活発に議論が行われている点が強調されました。他の講演者からは、Beyond 5Gの具体的な取り組みとして、テラヘルツ、IoT、AIによるネットワークの自動化、Non-Terrestrial、セキュリティ、グリーンテクノロジー等のキーワードと共に説明がありました。

<2日目>
セッション3では、ブラジルの国立通信研究所 Inatel のLuciano Leonel Mendes教授がモデレータとなり、ブラジル、欧州、インド、日本、中国、韓国における5Gの商用化の状況について講演がありました。日本からはKDDI株式会社の寺部滋郎氏から「KDDI’s 5G Commercialization」と題して、KDDIの現在のエリアカバレッジの状況(来年3月までに基地局50,000局設置、人口カバー率90%)の紹介があったほか、商用化の課題である高周波帯での全国エリア展開や3.7GHz帯における衛星通信の干渉に対する取組、今後のSA化やネットワークスライシングへの計画等について報告がありました。商用化の取組は、それぞれの国・地域の事情によってさまざまであり、インドからは、有線ネットワークが普及していない地域で5Gが非常に期待されているという発表がある一方で、欧州や中国からは新たなユースケースやアプリケーション開拓にむけた取組の報告もありました。また、各国で成功しているアプリケーションについての議論がありました。

セッション4では、韓国の延世大学校のDong Ku KIM教授がモデレータとなり、「5G Solutions for Vertical Industries」と題して、欧州、韓国、ブラジル、インド、中国、日本における産業分野での5Gの利活用についての講演がありました。日本からは、富士通株式会社の中村隆治氏より「5G Solutions for Vertical Industries」と題して、交通機関を例えとした産業界の要望に対するキャリア5Gとローカル/プライベート5Gの適材適所利用、その上で抽出された課題の標準化へのフィードバック、富士通における工場での利活用やクラウドサービス等の取組の紹介がありました。他の講演者からは、建設現場や工場、交通での利活用についての報告があったほか、目新しいところではインドで銀行サービスへの利用の報告がありました。

セッション5では、IITM(インド工科大学マドラス校)のVeezhinathan Kamakoti教授がモデレータとなり、欧州、ブラジル、中国、韓国から、Covid-19に関連するトピックの講演がありました。講演内容としては、パンデミックによりリモートワークが進展した一方で、オークション等の計画の遅延やフェイクニュースの影響についての話題が挙がりました。また、各国・地域での接触確認、ワクチンパスポート等のヘルスケアアプリケーションや医療用遠隔ロボットにおける利活用の紹介とともに、今後も5Gがこの分野でも重要な要素技術になるとの訴求がありました。

次に、5GMF会長の吉田進氏から、来年度2022年の秋に日本で開催予定の、第9回グローバル5Gイベントについて紹介がありました。

最後に、改めて、IMT-2020推進グループ議長のZhiqin Wang氏から開会の挨拶があり、本イベントが終了しました。

大村 好則 氏(5GMF事務局長)(左)、中村 武宏 氏 (株式会社NTTドコモ)(右)
大村 好則 氏(5GMF事務局長)(左)、中村 武宏 氏 (株式会社NTTドコモ)(右)
寺部 滋郎 氏(KDDI株式会社)(左)、中村 隆治 氏 (富士通株式会社)(右)
寺部 滋郎 氏(KDDI株式会社)(左)、中村 隆治 氏 (富士通株式会社)(右)
吉田 進 氏(5GMF会長)
吉田 進 氏(5GMF会長)
来年度2022年に日本で開催予定の第9回グローバル5Gイベントの紹介
来年度2022年に日本で開催予定の第9回グローバル5Gイベントの紹介