海外の5G動向【2021年5月度】

中国国内の5Gの普及は加速しており、機内サービスにも5Gを利用できる状態になりつつある。そのような状況の中で今月特に注目しておきたいのはマイクロソフトの「Azure for Operators」だろう。サービスの発表自体は昨年で、5Gコアを提供するAffirmed Networksと仮想化ネットワークベンダーのMetaswitch Networksの2社を買収した上でAzureを通信事業者向けのクラウド基盤として提供するものだが、これが日本国内でもいよいよ本格化する。通信部品のソフトウエア化(仮想化)は5Gの大きな特徴の一つだが、この「Azure for Operators」もコアクラウドの運用から通信事業者のネットワーク支援を行う戦略である。マイクロソフトの今後の動きに注目しておきたい。

米Mavenir、タイで5G Open RANを活用したスマートシティプロジェクトに参加【The Fast Mode 5/22】

米クラウドネイティブソフトウェア企業のマベニア(Mavenir)は先ごろ、タイの国有通信事業者であるNational Telecom(NT)と5Gスマートシティ関連企業の5GCT、Cisco Thailandとの協力で現地のバーンチャン地区に5G Open RANスマートシティを作るプロジェクトに参加していることを発表。ミリ波を活用したローカル5Gネットワークが整備される新たなスマートシティは、タイのデジタル経済および政府の「東部経済回廊(EEC)」政策にとって重要なインフラとなる。

原文:Mavenir to Launch 5G Open RAN Smart City in Thailand with Partners

中国、世界初の機内5Gを実現へ【Light Reading 5/17】

中国で、世界初の5Gを活用した機内インターネットサービスの実現が近づいている。チャイナ・テレコムとZTEでは、旅客機向けに5GベースのATG(air-to-ground)通信プラットフォームの開発を進めており、チャイナ・テレコムは2021年下半期の商用サービス提供を目指して現在北京を発着する3本の路線でこのプラットフォームのテストを実施。ZTEのATG製品ライン責任者によれば、少なくとも国内航空大手の2社がこの機内5Gサービスの導入を予定している。

原文:China set to launch world’s first in-flight 5G

英O2とマイクロソフト、ローカル5G向けのMEC機能開発で協力【5G Radar 5/21】

英携帯通信大手のO2とマイクロソフトは先ごろ、ローカル5Gネットワーク内でのオンプレミスのMEC機能の実証実験での協力を発表。このトライアルでは、O2が安全なローカル5Gネットワーク機能と様々なIndustry 4.0アプリケーションを提供し、マイクロソフトが「Azure Private Edge Zone」ソリューションを通じてコンピューティングサービスを提供する。また、両社は5Gネットワーク上での革新的ソリューションを開発するスタートアップ・エコシステムの支援においても協力する。

原文:O2 and Microsoft to develop MEC capability for private 5G

テレフォニカ、ローカル5Gでマイクロソフトと協力【Fierce Wireless 5/11】

スペイン通信大手のテレフォニカ(Telefonica)は、統合されたエッジコンピューティング機能を持つローカル5Gネットワーク製品の強化でマイクロソフトと協力する。両社は2019年から戦略的提携関係を結んでおり、AIや機械学習、クラウドなどの分野で協力してきたが、マイクロソフトが昨年仮想化ネットワーク関連のAffirmed NetworksやMetaswichを買収したことで、テレフォニカはローカル5G分野でも助力を受けることを決めた。

原文:Telefonica taps Microsoft as private 5G teammate

USCのがん研究センター、AT&Tのローカル5Gネットワーク導入を計画【Tech Republic 5/12】

南カリフォルニア大学(USC)のローレンス・J・エリソン研究所は先ごろ、今夏にAT&Tのローカル5G網とマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)技術を導入する計画を発表。新たなローカル5G網は患者や医療提供者、研究者からのデータ収集を円滑化するためのもので、患者のケアや研究における意思決定、腫瘍の3Dイメージングなどに活用される。

原文:USC cancer research center plans private 5G network

ボーダフォンとクアルコム、5G Open RANのリファレンスデザイン開発で協力【The Fast Mode 5/6】

ボーダフォンとクアルコムは先ごろ、より多くのサプライヤーが将来的にOpen RAN技術を使用した5G網を構築可能にするためのリファレンスデザインの開発で協力することを発表。新たなリファレンスデザインは、ボーダフォンの大容量・大規模なネットワークの構築に関するノウハウとクアルコムの高性能・低消費電力のASICソリューション開発における専門知識を組み合わせるもので、2021年中にデザインが公開され、2022年後半にトライアルが開始されるという。

原文:Vodafone, Qualcomm to Develop Blueprint for 5G Open RAN

エリクソン、エアバスの航空機工場にローカル無線網を配備へ【Fierce Wireless 5/3】

スウェーデンのエリクソンは、フランス大手航空機メーカーのエアバスの組立工場にローカル無線網を配備する。新たな無線網は、航空エンジニアリングや最終組立を行うトゥールーズの拠点にまずはローカルLTEとして導入され、将来的にローカル5Gにアップグレードされる見込みだ。

原文:Ericsson deploys private network for Airbus