海外の5G動向【2021年９月度】
6G関連の特許出願で4割を占める中国【Nikkei Asia 9/16】
5G、ローカル5Gの普及は少なくとも日本国内においてはまだ緒についたばかりだが、早くも次世代の通信方式「6G」に関する様々なニュースが出始めてきた。一言で言えば5Gで期待されたもの、例えばスマホ以外の端末の普及という意味でのIoT、あるいはAR/VRなどに関する特許の取得に関するものだ。これは、6Gで本格的に普及するであろう技術のプレビューを5Gで垣間見ることができる、ということを意味するとも言える。
Nikkei Asiaと調査会社サイバー創研は通信や量子技術、基地局、人工知能など6Gの中核となる9つの技術に関する約2万件の特許出願を調査した。この結果、もっとも出願数が多かったのは中国で全体の40.3％を占めた。中でも、ファーウェイは全体の12%近くを占めていたほか、中国電力最大手の国家電網、宇宙開発関連の中国航天科技集団などの特許出願数の多さも目立った。なお、国別では中国の次に米国で35.2%、以下日本が9.9%、欧州が8.9%、韓国が4.2%と続いている。6Gは2030年頃の実用化が見込まれているが、5Gまでとは異なり、むしろローカル6Gから普及が始まり本格6Gへ展開する、というのが現時点での業界筋の観測だ。
（参考ニュース）
原文：China accounts for 40% of 6G patent applications: survey
ONF、エンタープライズ向けプライベート5Gにフォーカスした新会社を立ち上げ【Fierce Wireless 9/27】
ネットワークインフラ関連の業界団体のOpen Networking Foundation（ONF）は米国時間9月27日、同団体のローカル5G向けプラットフォーム「Aether」を商用化するためにAnankiという新会社を立ち上げることを発表。Anankiは企業の「インダストリー4.0」ニーズへの対応にフォーカスし、企業がソフトウェア定義されたプライベート5G網をWi-Fiと同じように容易に利用できるようにしていくという。
原文：ONF launches Ananki to focus on private 5G for enterprise
エリクソンとMTS、ロシア初の商用5G対応プライベート無線網を構築【5Gradar 9/28】
ロシア携帯通信最大手のMTSは先ごろ、ロシア初の5G対応プライベート無線網の構築が完了したことを発表。エリクソンとの協力で現地の金・銀生産大手のPolymetalの金鉱に導入されたこのローカル無線網は、鉱山向けフリート管理システムの支援、掘削機やボーリングマシン、計測機器などの遠隔・自動制御、鉱山現場の遠隔モニタリングなどに活用されるという。
原文：Ericsson and MTS launch Russia’s first commercial 5G-ready private network
サムスン、ミリ波帯5Gベースの地下鉄車内Wi-Fiのトライアルで1.8Gbpsを達成【Fierce Wireless 9/28】
韓国の科学技術情報通信部と大手通信事業者のKT、SK Telecom、LG U＋は先ごろ、ミリ波帯5Gを活用したWi-Fiサービスのトライアルをソウルの地下鉄車内で実施。このトライアルでは、サムスンの「Galaxy S21 Ultra」と5G Compact Macro基地局が使用され、これまでの地下鉄車内のWi-Fi平均速度の約25倍にあたる秒速1.8GHzを達成したという。
原文：Samsung 5G mmWave trial clocks 1.8 Gbps Wi-Fi speeds in Seoul subway
IBMとAirspan、2カ国にまたがるプライベート5G網のトライアルで協力【Fierce Wireless】
IBMとAirspan Networksは先ごろ、独ミュンヘンのIBM Watson IoTセンターと仏ニースのIBMグローバル・インダストリー・ソリューション・センターにまたがる5G対応のOpen RANテストベッドの立ち上げで協力する計画を発表。両社はプライベート5G網の長距離制御の実証実験を目指しており、無線アクセスネットワーク（RAN）コンポーネントはミュンヘン、5Gコアはニースに設置されるという。
原文：Airspan and IBM trial 5G private wireless across 2 countries
中国Oppo、5G技術開発でエリクソンと協力【South China Morning Post 9/22】
中国スマートフォンメーカーのOppoは先週、スウェーデンのエリクソンとの提携で5G関連の新たな通信研究所を深センに開設。同社は米国のブラックリストに掲載された競合企業であるファーウェイの穴を埋めることを目指しており、新たなラボで5Gモバイル技術の可能性を最大限に活用するためのキラーアプリの開発に取り組むという。
英製造業研究施設、ネットワークスライシング機能を持つプライベート5G網でZeeta Networks、Airspan、Druid Softwareと協力【Fierce Wireless 9/10】
英国の製造業研究施設であるナショナル・コンポジット・センター（National Composites Centre）は、ボーイングやエアバスなどの顧客への有料提供を目指してプライベート5G網の導入を進めている。同センターは英テクノロジー企業のZeetta Networks率いる企業連合「5G-Encode」と提携しており、AirspanのOpen RAN機器やDruid Softwareのコアネットワーク、英通信規制当局のOfcomから取得した周波数帯などを活用した新たなプライベート5G網でネットワークスライシングのデモを行うという。
原文：Zeetta Networks, Airspan, and Druid slice private 5G for manufacturers
ベライゾン、5G活用でNFLと10年間のパートナーシップを締結【Fierce Wireless 9/9】
米通信大手のベライゾンは先ごろ、NFLのオフィシャル5Gパートナーに就任。ベライゾンはこれまで、NFLの25か所のスタジアムに自社の「5G Ultra Wideband」サービスを導入しているが、今回の10年間のパートナーシップにより、両者はファン体験や保安、場内販売、群衆管理などの分野における新たな5Gユースケースを生み出すための研究・開発で協力するという。
原文：Verizon strikes 10-year, 5G technology deal with NFL
ファーウェイ幹部、6G製品の見通しに言及【Global Times 9/12】
中国のファーウェイが、2030年頃にも6G製品の発売を目指しているとする話を現地のGlobal Timesが報道。ファーウェイの輪番会長を務めるエリック・シュー氏が同社のオンラインコミュニティ上で明かしたといい、同社が2017年から6G研究への投資を開始していることも明かされている。
原文：Huawei executive discusses 6G plans, as US chip ban reaches one year anniversary
エリクソンとUnikie、プライベート5G網と自動化技術で工場での駐車を最適化【Automation.com 9/7】
スウェーデンのエリクソンは、フィンランドのソフトウェア企業であるUnikieとプライベート5G網を活用した工場での自動駐車のトライアルを実施する。車両を遠隔で自動駐車するこの技術は、自動車メーカーの工場における車両物流管理のコストや時間の削減することが期待されているほか、将来的には空港やショッピングモールの駐車場、物流拠点などでの活用が見込まれている。
原文：Ericsson and Unikie Optimize Factory Parking with a 5G Private Network and Automation
オレンジとシーメンス、ローカル5Gを活用した製造業向け自動化ソリューションで協力【Mobile World Live 9/7】
仏通信大手オレンジのビジネスサービス部門とシーメンスのデジタル部門は先ごろ、フランス国内の製造業者向けの工場自動化ソリューションで協力することを発表。ローカル5G網とサイバーセキュリティ技術、IoTプラットフォームなどからなるこのソリューションは、データセンサーを用いたメンテナンスの最適化などのユースケースが想定されており、両社は将来的にクラウドやエッジコンピューティング、AIを活用した製品の提供も予定しているという。
原文：Orange, Siemens forge industrial pact
ボーダフォン、ポルシェの開発センターにプライベート5G網を配備【RCS Wireless 9/6】
ボーダフォンとポルシェは先ごろ、ポルシェのR&D拠点であるヴァイサッハ開発センターにスタンドアロン方式のプライベート5G網を導入。新たなプライベート5G網は現在の欧州で最も速いネットワークの1つになるといい、ポルシェは開発プロセスの早期段階で新技術をテストしたり、車両への導入に備えることが可能になるという。
原文：Vodafone deploys private 5G network at Porsche’s development center
収益性の高い5G MEC市場を狙うSKテレコム【CDO Trends 8/26】
韓国通信大手のSKテレコムは先ごろ、5Gモバイルエッジコンピューティング（MEC）市場向けのソリューション開発で現地5G機器メーカーのHFRおよびNTELSとの提携を発表。3社は、カスタマイズされた5G MECソリューションを使用したB2Bパイロットプロジェクトを計画しており、ローカル5G網を運営する国内外の企業やその他の組織に提供していくという。今回の提携では、SKテレコムが新たなサービス製品の開発と事業の運営、HFRがグローバルネットワークの相互接続技術の開発と海外販売チャネルの運営、NTELSがプラットフォームの開発と保守、顧客サービスを行うことになるという。
原文：SK Telcom Goes After Lucrative 5G MEC Market
パデュー大学、SBAとTilsonとの提携で6Gラボを立ち上げ【Fierce Wireless 8/26】
米パデュー大学とパデュー研究財団は、同大学のキャンパスに隣接するディスカバリーパーク地区に次世代通信技術の研究・開発を推進する新たなイノベーションプラットフォーム「Labs to Life（L2L）」を立ち上げることを発表。両者は今年初め、同地区の通信インフラ強化でネットワーク設計事業者のTilsonおよび無線通信インフラ企業のSBA Communicationsと提携しており、将来的に同地区には国内初となる大規模な6G網が展開される見込みだという。
原文：Purdue sets up 6G lab, partners with SBA and Tilson
ベライゾン、マイクロソフトとの協力でプライベート5Gエッジコンピューティングソリューションを提供【Light Reading 8/31】
米通信大手のベライゾンは現地時間8月31日、昨年から提携するマイクロソフトとエンタープライズ向けにオンプレミスのプライベート5Gエッジコンピューティングソリューションを提供することを発表。「Verizon 5G Edge」と「Microsoft Azure Stack Edge」を組み合わせたこのソリューションは、コンピュータービジョンやAR/VR、機械学習などのアプリケーションに必要な高い効率性や高レベルのセキュリティ、低遅延、広帯域を提供するという。