海外の5G動向【2021年10月度】

海外では工場へのローカル5G導入とマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)の採用が本格化しつつあるが、国内ではミリ波への対応が動き始めた。そもそもミリ波帯の導入に熱心なのは米国、韓国、そして日本の3カ国に限られるが、日本では2020年12月に4.7GHz帯の300MHz幅と28GHz帯の800MHz幅が追加で割り当てられ、合計1.2GHz幅を使えるようになったことで特に28GHz帯の開発が加速している。一例として京セラとJMA Wirelessによる5Gミリ波バックホールシステムの開発契約締結などがある。光ファイバーが利用できない地域や施設コストが高い地域に、5G基地局を迅速かつ効果的に配備可能になるという。

https://news.biglobe.ne.jp/it/1103/mnn_211103_8771169513.html

ミリ波帯は大容量と直進性が大きな魅力だが、降雨などの影響を受けやすいという特徴もあり、デリケートな運用が要求されることも多い。現場を熟知したベンダーの出番、という見方もできるだろう。

AT&T、フォードの新たなEV工場にプライベート5GおよびMECを導入【RCR Wireless 10/26】

米通信大手のAT&Tは、ミシガン州ディアボーンにあるフォードのルージュEVセンターにプライベート5G網およびマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)を導入する。フォードの最新EVピックアップトラック「F-150 Lightning」が生産されているこの施設では、生産ラインスタッフが設備の状態確認や部品にスキャンに活用するスマートフォンやタブレット、自動車のOTAソフトウェア・アップデートなどにローカル5G網が役立てられるという。

原文:AT&T brings private 5G network, MEC to Ford’s new electric vehicle factory

プライベート5G網向け専門サービス市場、2026年までに58億ドル規模に【Telecom TV 10/26】

米ABIリサーチの新たなレポート「The Role of 5G for Enterprise ICT Systems 」によれば、システムインテグレーションなどローカル5G網向け専門サービスの市場規模は、2021年の5800万ドルから2026年には58億ドルに達する見込みだという。このレポートでは、2026年のローカル5Gインフラ市場の規模を50億ドルと見積もっており、特にエネルギー産業や製造業、物流業の需要の高まりから、今後5G関連の専門サービスが5Gインフラより大きな売上を上げるようになると予想している。

原文:Integration services for Private 5G Networks to reach US$5.8 billion by 2026

エリクソン、5G網向けに一貫した低遅延を実現する新たなソリューションを発表【Fierce Wireless 10/25】

スウェーデンのエリクソンは欧州時間10月25日、パブリック/プライベート5G向けに一貫した低遅延と高い信頼性を実現する新たなソフトウェアスイートを発表。「Time-Critical for Critical IoT」と呼ばれるこの製品は周波数帯を問わずあらゆる5G網に導入可能で、クラウドゲーミングや輸送・交通のモニタリング、3Dデジタルツインなどのユースケースへの活用が想定されているという。

原文:Ericsson software promises consistent low latency for public, private 5G

フォルクスワーゲン、スマートファクトリー化を見据えたプライベート5G導入をテスト【Automotive World 10/19】

フォルクスワーゲンは先ごろ、ヴォルフスブルクの本社工場にプライベート5G網を試験的に導入。このパイロットプロジェクトは、ドイツ通信当局から割当を受けた3.7〜3.8GHz帯の100MHzの帯域幅とノキアの通信機器を活用するもので、製造された自動車へのデータの無線アップロードなどをテストする。フォルクスワーゲンでは、5G技術が自動車製造における様々な要求を満たすことをテストした上で、将来的にローカル5G網の活用をさらに拡大していく見込みだという。

原文:Volkswagen tests 5G for production on its way to smart factories

ARM、ネットワークインフラのイノベーションのための5G Solution Lab開設を発表【ZDNet 10/18】

英ARMは現地時間10月18日、企業による5G関連のハードウェア/ソフトウェアソリューションのテストを支援する新たな5G Solution Labの開設を発表。米ディッシュ・ネットワークやGoogle Cloud、クラルコム、Nvidia、Vodafone、GSMAなどが協力するこの取り組みでは、スモールセルやマクロセル、ローカル5G網、クラウドRAN,RIC(RAN Intelligent Controller)などの重要なユースケースに関して、パートナー企業や通信事業者が様々なソリューションを検証できる環境を提供するという。

原文:Arm unveils 5G Solutions Lab for network infrastructure innovation

企業のプライベート無線網への年間支出額、2023年に120億ドルに到達(Juniper Reserach見積もり)【Capacity Media 10/19】

英調査会社Juniper Researchの新たな報告書によれば、企業のプライベート無線網への年間支出額は2021年、約55億ドルとなる見込みで、この数字は2023年には倍以上の約120億ドルに到達すると見積もられている。特に、製造業、鉱業、エネルギー産業によるローカル無線網への支出は2023年に全体の59%を占める見込みで、国別では米国とドイツが全体の30%を占めると予想されている。

原文:Private cellular network spend to reach $12bn by 2023

パデュー大研究財団、スマートシティ地区へのプライベート5G導入でCelonaと契約【Light Reading 10/12】

米パデュー大学の研究財団(Purdue Research Foundation、PRF)は先ごろ、CBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)の3.5GHz帯を活用したローカル5G網の導入でスタートアップのCelonaおよび無線通信インフラ企業のSBA Communicationsと契約。新たなプライベート5G網は、パデュー大キャンパスの側に建設中のスマートシティ地区「Discovery Park District」内にあるPRFのメインビルの1つに導入される見込みだという。

原文:Purdue University group signs up for Celona’s private 5G network

サムスン、新たなホワイトペーパーでプライベート5Gソリューションをアピール【Fierce Wireless 10/11】

サムスンは10月8日、同社の幅広いプライベート5Gソリューションを紹介する新たなホワイトペーパー「Transforming Private Networks with Samsung 5G」をリリース。同社の新たなソリューションには、RANやコアネットワーク、トランプポートネットワーク、管理システムなどが含まれ、コンパクトなワンボックス製品、標準的な中規模製品、大企業向けのプレミアムソリューションの3つの構成で提供されるという。エンタープライズ向けローカル5G市場は、エリクソンによるCradlepointの買収や、ノキアによるクラウドネイティブな産業向けエッジソリューションのリリースなどで近年ますます競争が激化している。

原文:Samsung pitches private 5G in new white paper

ハンガリー、ファーウェイとの協力で欧州初の5Gスマート鉄道ハブを建設へ【Global Times 10/7】

ハンガリー物流企業のEast-West Intermodal Logisticsと英通信大手のボーダフォン、中国のファーウェイは欧州時間10月7日、プライベートG網を活用した欧州初のスマート鉄道ハブの建設に関する協力協定を締結。このプロジェクトでは、ハンガリー東部のFenyeslitkeに建設中の新たな鉄道ハブにプライベート5G網を導入し、荷役作業の効率を飛躍的に高める全自動橋形クレーンの遠隔制御などに活用するという。

原文:Hungary to build Europe’s first 5G smart railway port together with Huawei