海外の5G動向【2021年11月度】
先般、最先端の無線通信研究者コミュニティ中心に「Brooklyn 6G Summit」が開催された。ここで3GPP(3rd Generation Partnership Project)は、2028年に登場する予定のRelease 21が事実上の6Gスタートになるだろうと表明した。なお「Brooklyn 6G Summit」には日本人としてはNTTドコモ執行役員の中村武宏氏、オムロン執行役員技術開発本部長・福井信二氏の2名がスピーカーとして登壇している。
https://brooklyn5gsummit.com
米通信業界団体「Cバンド5Gの遅れは1年で500億ドル規模の経済的損失」【Fierce Wireless 11/19】
CTIAなど複数の米通信業界団体は現地時間11月18日、Cバンドを活用した5G商用サービスについてホワイトハウスに書簡を送付。米連邦航空局(FAA)が航空機の安全システムに干渉する可能性を懸念したことで開始が1か月延期されていた会員企業のサービスについて、「さらなる延期には対応しない」と主張した。CTIAらは会員企業らが5G関連機器や技術に多額の投資を行ってきたことを強調し、「サービス開始が1年遅れれば500億ドル規模の経済成長を阻害する」と主張している。
原文:CTIA puts number on C-band lag: $50B over one year
米デュッシュ、独自の5G網展開で楽天と協力【Light Reading 11/23】
米衛星放送大手のディッシュ・ネットワーク(Dish Network)は現地時間11月23日、同社が展開を計画する独自の5G網に楽天シンフォニー(楽天の通信プラットフォーム事業組織)の「Observability Framework(OBF)」を採用することを発表。ディッシュは、同技術をネットワーク機能のテレメトリデータ収集に使用し、AIや機械学習によるネットワーク運用の効率化をサポートするという。ディッシュは昨年、現楽天傘下のAltiostarの無線アクセスネットワーク(RAN)管理ソフトウェアの採用を発表するなど、5GやOpen RAN分野で楽天との関係を強めている。
原文:Dish Network officially teams up with Rakuten
エリクソン、5Gおよび6G研究でサウジアラビアのKAUSTと提携【RCR Wireless 11/22】
スウェーデンのエリクソンとサウジアラビアのKAUST(アブドゥラ王立科学技術大学)は先ごろ、次世代通信システムの研究開発における3年間のパートナーシップ締結を発表。両者は無線リソースの割り当て最適化における機械学習の活用、テラヘルツ通信のバックアップソリューションなど3つの研究プロジェクトで協力するという。
原文:Ericsson inks partnership to boost 5G, 6G research in Saudi Arabia
米ディッシュ、ローカル5G事業でシスコと提携【Reuters 11/16】
米衛星放送大手のディッシュ・ネットワーク(Dish Network)とシスコは現地時間11月16日、クラウドを利用したビジネス向け5Gサービスの販売で提携することを発表。ディッシュはネットワークの構築にあたってシスコの通信機器を使用する見込みで、両社はビジネス向けにプライベート5Gサービスを提供する体制を構築するために共同で投資を行うという。
原文:U.S. satellite TV firm Dish ties up with Cisco to sell 5G to businesses
サムスン、米国で6G技術のテストを実施へ【Business Korea 11/16】
サムスンは今週、自社の通信機器を使用した6G周波数のテストを実施する。米テキサス州にあるサムスンの研究所で実施されるこのテストでは、同社が連邦通信委員会(FCC)から使用許可を得た133〜148GHz帯の周波数を半径500メートルの範囲で使用し、6Gスマートフォンと基地局の間の中・長距離通信を実験するという。
原文:Samsung Electronics to Test 6G Technology in the U.S.
Cellnex、英自治体とローカル5G契約を締結【Telecoms.com 11/16】
スペインに本拠地を置く無線通信インフラ事業者のCellnexの英国支社が先ごろ、現地のベイジングストーク・アンド・ディーンの自治体とプライベート5G網の設計・構築に関する契約を締結。同社は多数のテック企業が入居するベイジングストークのビジネス地区「Basing View」にローカル5G網を配備する。Cellnexは昨年7月、エンタープライズ向けローカル無線網を提供するフィンランドのEdzcomを買収して同分野に参入していた。
原文:Cellnex scoops UK private 5G network deal
原文:Cellnex Secures 10-year Deal to Deliver 5G Private Network in UK
AT&Tとベライゾン、米航空当局の懸念でCバンドを活用した5Gサービスの開始を延期【Fierce Wireless 11/4】
米通信大手のAT&Tとベライゾンは現地時間11月4日、両社が12月5日に予定していたCバンドを活用した5G商用サービスの開始を1か月延期することを発表。Cバンドでの5Gサービスについては先週初め、米連邦航空局(FAA)が航空機の安全システムに干渉する可能性があるとの懸念を表明しており、FAAは今後航空安全への影響を調査するという。
原文:AT&T, Verizon postpone C-Band rollouts until air safety review
アップル、6Gモデム開発の人材を募集【Telecoms 11/4】
近年自社製品向けチップの内製化を進めるアップルが、6Gモデム開発のための人材募集を開始したという。新たに募集されているのは、6Gリファレンスアーキテクチャの設計やモデリングに携わる人材で、AIや機械学習を活用したチップ設計の経験なども求められているという。アップルについては近年、5Gモデムの自社開発を進めていることも伝えられているが、現時点で標準化も完了していない6G関連の人材募集については、次世代通信技術でリードを目指す同社の思惑が指摘されている。
原文:Apple is already recruiting talent for 6G modems
カナダのTeraGo、ミリ波を使用したローカル5G網構築でマクマスター大と連携【MobileSyrup 11/9】
カナダの企業向け無線ブロードバンド通信プロバイダーのTeraGoは先ごろ、ミリ波を使用した研究向けローカル5G網の構築で現地のマクマスター大との提携を発表。両者は高速で低遅延のミリ波の特徴を活かした最先端の製造・物流技術の開発で協力するほか、マクマスター大の学生は校内でプライベート5G網の利用が可能になるという。
原文:McMaster, TeraGo partner to build private mmWave 5G network for research
MTSとエリクソン、ロシア企業向けのローカル5G事業で提携【The Fast Mode 11/2】
ロシア通信最大手のMTSとスウェーデンのエリクソンは先ごろ、ロシア国内の一般企業向けのプライベート5G網の構築に関する戦略的提携を締結。両社は今年9月、金・銀生産大手のPolymetalへの商用ローカル無線網構築で協力していたが、今回新たに石油化学大手のSIBURや鉄鋼大手のEVRAZ、Severstalなど複数のロシア大手企業向けの商用ローカルLTE/5G網の構築に関して契約を結んだことも発表している。
原文:MTS, Ericsson to Build Private 5G Networks for Industrial Enterprises in Russia
楽天、Open RAN導入を容易にする新製品の開発でインテル、ジュニパーと協力【Fierce Wireless 10/26】
楽天シンフォニー(楽天の通信プラットフォーム事業組織)とインテル、ジュニパーは先ごろ、基地局ごとに必要なハードウェア数を減らしてOpen RANの導入を容易にし、4G/5G網の高密度化を実現する新たな製品の開発で協力することを発表。「Symware」と呼ばれるこの製品は、ジュニパーのコンテナ化された基地局のルーティング機能とAltiostarのソフトウェアを使用してコンテナ化された分散ユニットを、インテルの技術で単一の汎用サーバープラットフォーム上に統合するもので、ネットワークエッジで多目的に活用できるという。
原文:Rakuten, Intel, Juniper team to simplify open RAN deployments
2022年中に中国全土への5G網展開を目指すチャイナ・モバイル【Caixin Global 11/2】
中国通信最大手チャイナ・モバイルの楊傑会長は現地時間11月2日、2022年末までに国内全土の郷級(日本における町村に近い行政区分)以上の地域を5G網でカバーすることを約束。同社はこれまで国内全体で56万基の5G基地局を整備しており、月額制の5Gプランを契約するユーザー数は3億6000万人に達しているという。
原文:China Mobile Aims to Provide Nationwide 5G Coverage by End of 2022