海外の5G動向【2021年12月度】

NTTは12月8日、英国、米国、日本、ドイツの200人以上のCIOや企業幹部を対象にプライベート5G導入に関して調査した新たな報告書「Private 5G here and now」をリリースした。

https://connect.hello.global.ntt/Economist-P5G-CIO-Survey-Report

この報告書によれば、調査対象企業の30%はすでにプライベート5G網(Private 5G)を導入済みまたは導入を進行中で、51%以上が今後6か月〜2年以内にプライベート5G網の導入を計画していたという。国別ではドイツで最もプライベート5Gの導入が進んでおり(40%)、以下英国(28%)、日本(26%)、米国(24%)と続く。例えばドイツではポルシェがライプツィヒにある生産施設にエリクソンとの協力によるプライベート5G網を導入したことを発表した。

https://www.computerweekly.com/news/252510127/Porsche-revs-up-for-private-5G-in-production

この5G網はロボットの無線制御や現場の機械や生産作業員、車両の間の大規模なデータのやり取りなどに活用されるという。

以下、2021年12月の世界の5G・L5Gの動向をお伝えする


タイ、プライベート5G推進で国営通信事業者など4社が協力【Develping Telecoms 12/21】

タイの国営通信事業者であるNational Telecom、現地MVNOのThe WhiteSpace、現地電子機器メーカーのデルタ電子、台湾通信大手の中華電信は先ごろ、プライベート5Gでの協業に関するMOU(覚書)締結を発表。4社はタイのバンブー工業団地にあるデルタ電子の本社および第一工場へのプライベート5G導入で協力。また、将来的にはタイ国内の自治体や製造業、観光業、医療・金融業のプライベート5G活用にあたっても協力する見込みだという。

原文:Four-party deal aims to promotes 5G private networks in Thailand

ベライゾンとグーグル、5Gモバイルエッジコンピューティング提供で提携【Verizon.com 12/16】

米通信大手のベライゾンは現地時間12月16日、自社ネットワークを活用したエッジコンピューティングサービスの提供でグーグルと協力することを発表。両社は「Verizon 5G Edge」と「Google Distributed Cloud Edge」を組み合わせて法人向けにコンピューティングサービスやストレージサービスを提供し、自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robot、AMR)やインテリジェント物流、工場自動化などのアプリケーションに必要な広帯域や低遅延を実現するという。

原文:Verizon and Google Cloud to collaborate to deliver 5G mobile edge computing

EU、大規模な6G R&Iプログラムを開始【RCR Wireless 12/21】

欧州委員会は先ごろ、現地初の大規模な6GのR&I(Research & Innovation)プログラムに2億4000万ユーロの予算を確保したことを発表。欧州で今年新たに設立された「スマートネットワークとサービスに関するパートナーシップ」の下では、5Gを活用した大規模なトライアルから6Gの最先端研究まで、数多くの活動がEUから資金提供を受ける見込みとなっている。

原文:Europe launches first large-scale 6G R&I program

プライベート無線分野のイノベーターを目指すCelona【Fierce Wireless 12/10】

エンタープライズ向けプライベートLTE/5Gスタートアップの米Celonaは先ごろ、高度なジオフェンシング技術を利用して異なるローカル無線網間のローミング実現を目指す新規格の仕様を米業界団体のOnGo Allianceに提出。プライベート無線網が広く普及する将来を見据えたこの仕様は、複数のプライベート無線網の認証情報を保存した端末が不要なタイミングでこれらのネットワークへの接続を試み、バッテリーを消耗することを防ぐものだという。

原文:Celona innovates private wireless tech with OnGo, STEP CG

ボーダフォン、5Gエッジ分野でマイクロソフトと新たに5年間のパートナーシップを締結【Land Mobile 12/8】

ボーダフォン・ビジネスは先ごろ、中小企業向けのプライベート5Gやエッジコンピューティング、IoTソリューションの提供においてマイクロソフトと新たに5年間のパートナーシップを締結。両社はボーダフォンのエッジコンピューティングサービスとマイクロソフトのMR(複合現実)デバイス「HoloLens2」と組み合わせたメンテナンスや研修関連ソリューションなどを提供し、中小企業による5GやMECの活用を支援していくという。

原文:VODAFONE EXTENDS 5G EDGE PARTNERSHIP WITH MICROSOFT

世界の5G接続数、2021年中に5億を突破へ【Business Wire 12/14】

5G関連の米業界団体である5G Americasは先ごろ、世界の5G接続数が2021年第3四半期に4億3800万に達し、このペースで増加すれば、2021年中に5億4000万を超えるとする調査会社Omdiaの見積もりを発表。Omdiaは世界の5G接続数の今後について、2026年には48億を突破し、このうち東南アジアおよびオセアニアが半分以上、南北アメリカが17%を占めるとの見積もりを出している。なお、5G Americasおよび調査会社TeleGeographyによれば、世界では現在185の商用5G網が提供されており、この数字は2023年までに329まで増加するとの予想も出されている。

原文:5G on Pace to Exceed a Half-Billion Connections by End of 2021

AWS幹部「プライベート5Gで通信事業者と争うつもりはない」【Fierce Wireless 12/2】

AWSは先ごろ、独自のプライベート5Gサービス「AWS Private 5G」を発表していたが、同社はこのサービスで従来の通信事業者と競合するつもりはないという。AWSの幹部らはこのサービスについて「通信事業者との競合ではなくコラボレーションを目指すもの」と強調。また、Avid ThinkのアナリストであるRoy Chua氏は同サービスについて「ローカル5Gのスターターキットのようなもの」と表現し、「プライベート5G導入を目指す企業が大規模な設備投資の前に試験的に導入できるソリューション」と解説している。

原文:AWS isn’t going to war with telcos on private 5G

アラスカ航空、プライベート5GやMEC導入でT-モバイルと提携【RCR Wireless 12/7】

米アラスカ航空は先ごろ、同社のモビリティ事業の大部分を担う優先的無線プロバイダーにT-モバイルを選出したことを発表。両社はチケット発券からチェックイン、定時運行、手荷物追跡まで、様々な作業効率の改善や顧客体験の向上にマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)やプライベート無線網などの5Gサービスを役立てるという。

原文:Alaska Airlines picks T-Mobile as preferred carrier

AWS、プライベート無線網を手軽に導入できる「AWS Private 5G」のプレビュー版を発表【Tech Crunch 12/1】

AWSは米国時間11月30日、アマゾンの「AWS re:Invent」カンファレンスの中で、プライベート無線網の導入と管理を容易にする新サービス「AWS Private 5G」のプレビュー版を発表。同サービスは、必要なハードウェアやソフトウェア、SIMカードなどをAWSが提供し、顧客がわずか数日でプライベートLTE/5G網を設置して拡張できるもので、まずは米国でプレビュー版が利用可能になるという。

原文:Amazon launches preview of new AWS Private 5G managed service

スペインのテレフォニカ、来年1月にも商用インダストリアル5Gサービスを開始【Telecoms.com 11/30】

スペイン通信大手のテレフォニカは先ごろ、2022年1月1日からスペイン国内で様々な商用インダストリアル5Gサービスを開始することを発表。テレフォニカによれば、まずは産業向け無人搬送車(Automated Guided Vehicle、AGV)、ARスマートグラスなどを活用したリモートアシスト、カメラやその他センサーを搭載した5Gドローンの3つのサービスが提供されるという。

原文:Telefónica industrial 5G services to go live in January