海外の5G動向【2022年1月度】

ノキアの自営無線網クラウドサービス「Digital Automation Cloud」の採用に関する報道が多かったのが2022年1月の特徴。この技術自体は2年以上前に発表されたものだが、ようやく本格的な実装フェーズに入ったようだ。もう一つ目立つのは「オープン」という言葉だ。Open RANに限らずオープンな5G構築網を目指そうとする動きが加速している。ローカル5GもWi-Fiとの棲み分けではなく、統合していくソリューションが今後目立つようになる可能性がある。

以下、2022年1月の世界の5G・L5Gの動向をお伝えする


独仏政府、プライベート5Gプロジェクトへの支援で協力【Total Telecom 1/25】

フランス政府とドイツ政府が、両国をまたぐ4つの5Gプロジェクトの支援で協力。オープンアーキテクチャを用いたプライベート5Gのための独仏エコシステム構築を目指す「5G-OPERA」、公共5Gにアクセスできないビジネスパークでオープンな5G網構築を目指す「5G4BP」、遠隔診療の環境を整備する「5G FORUM」、プライベート5Gを手術室のネットワーク化に活かす「5G OR」の4プロジェクトに共同で1770万ユーロの資金を提供する。

原文:French and German govts team up to fund private 5G projects

米ケーブルテレビ大手のコムキャスト、プライベート5G事業に参入【1/22 Fierce Wireless】

米コムキャストのビジネスサービス部門であるコムキャスト・ビジネスがプライベート5G事業に参入。同社はノキアの自営無線網クラウドサービス「Digital Automation Cloud」を活用し、フィラデルフィアの屋内競技場であるウェルス・ファーゴ・センターにプライベートLTE/5G網を導入するという。

原文:Comcast enters private wireless business, lights up Wells Fargo Center

NEC、5Gポートフォリオ強化に米Blue Danubeを買収【1/29 Fierce Wireless】

NECは1月28日、基地局関連の技術やソフトウェアを手がける米Blue Danube Systemsの買収を発表。カリフォルニア州に本社を置くBlue Danubeは、基地局の容量を最大3倍に増大させる独自のMassive MIMOビームフォーニング技術を保有。NECは同社の買収でOpen RANや5G事業の強化を目指すという。

原文:NEC beefs up 5G portfolio with U.S.-based Blue Danube acquisition

米デュッシュ、エンタープライズ向けプライベート5G事業でWCIと提携【Fierce Wireless 1/20】

米衛星放送大手のディッシュ・ネットワーク(Dish Network)は先ごろ、エンタープライズ向けプライベート5G事業で米システムインテグレータのWCI Technologiesと提携。両社は当面、ディッシュの保有する周波数帯を活用して石油・ガス、ヘルスケア、鉱山業などの顧客に向けたサービスの提供で協力。ディッシュの5G網始動後は、公共ネットワークを使用したエンタープライズ向け5Gサービスにも提携を拡大するという。

原文:Dish partners with WCI for enterprise 5G private wireless
原文:WCI Technologies Partners with DISH to Market 5G for Enterprises

ボーダフォンとサムスン、英国初の商用5G Open RAN網を始動【Samsung News Room 1/19】

英ボーダフォンとサムスンは1月19日、英国初の商用5G Open RAN網を英西部のバースで稼働開始したことを発表。両社はこのマイルストーンを記念し、サムスンのvRAN(仮想化RAN)を使用した5Gライブビデオ通話のデモを実施し成功。ボーダフォンは今後、欧州の2500か所で5G商用Open RAN網を展開していくという。

原文:New milestone follows Vodafone UK’s selection of Samsung as a leading vendor to support the commercial deployment of Open RAN across Europe

中国、2021年の5Gスマートフォン出荷数は前年比63%増【RCR Wireless 1/14】

中国情報通信研究院によれば、中国市場の5Gスマートフォン出荷数は2021年、前年比63%増の2億6600万台に到達。同国で2021年に出荷されたスマートフォン全体の75.9%を占め、世界平均の40.7%を大きく上回る水準だったという。同研究機関は出荷台数増加の要因について、国内の5G対応端末の価格が1000元(約1万8000円)を切ったことに言及。また、2021年11月時点で5G基地局数が139万基に達するなど、5Gの人口カバー率が大きく上昇したことにも触れている。

原文:5G smartphone shipments in China grow over 63% y-o-y in 2021: Report

中国研究機関、6G分野での新たなブレイクスルーを発表【South China Morning Post 1/6】

中国政府が支援する紫金山実験室(Purple Mountain Laboratories)という研究機関が現地時間1月5日、実験室環境で秒速206.25ギガビットの無線伝送を実現したことを発表。今回のプロジェクトは現地通信大手のチャイナ・モバイルおよび復旦大学との共同で行われたもので、6Gでの応用が見込まれるテラヘルツ周波数帯のリアルタイム無線伝送で世界記録を達成したという。

原文:Chinese lab says it made a breakthrough in 6G mobile technology as global standards-setting race heats up

ベライゾン、アリゾナ州立大に5Gイノベーションハブを開設【RCR Wireless 1/14】

米通信大手のベライゾンは先ごろ、アリゾナ州立大学にミリ波を活用したローカル5G網を配備した5Gイノベーションハブを開設。このハブは「より包括的で公平、アクセスしやすい5Gを活用した教育体験」の考案やテストのための拠点で、学生や教職員、起業家、パートナー企業などが利用できるという。

原文:Verizon launches 5G Innovation Hub at ASU to foster digital equity, inclusion

インドTech Mahindra、プライベート5G事業でノキアと提携【Capacity Media 1/12】

インドITサービス大手のTech Mahindraは現地時間1月12日、ローカル5Gの国際的な普及促進を目指してノキアとの提携を発表。同社はノキアの自営無線網クラウドサービス「Nokia Digital Automation Cloud」を製造や輸送、物流、ヘルスケア、石油・ガスなど幅広い業界の顧客向けに活用し、クラウド上でのローカル5G網管理の自動化を促進するという。

原文:Tech Mahindra partners Nokia on 5G private wireless

ノキアと米Ligado、エンタープライズ向けプライベート無線事業で提携【Fierce Wireless 1/6】

フィンランドのノキアと米Ligado Networksは先ごろ、ノキアの自営無線網クラウドサービス「Nokia Digital Automation Cloud」とLigadoの保有するLバンド(マイクロ波周波数帯域の1つ。主にレーダーや衛星電話、携帯電話、地球観測衛星の合成開口レーダーなどで利用されている)を組み合わせた米エンタープライズ市場向けソリューションの提供で提携。Ligadoは2020年4月、Lバンドで低電力の地上ネットワークを展開し、5GおよびIoTをサポートするという計画にFCCから承認を獲得。両社はLigado保有のLバンドに対応するノキア製5G基地局の開発でも協力していた。

原文:Nokia, Ligado ink private network pact for enterprise

Naver Cloud、韓国初のプライベート5G事業者に【Aju business Daily 12/29】

韓国の科学技術情報通信部は先ごろ、Naver傘下のクラウドサービス事業者であるNaver Cloudが、ローカル5G網を利用した通信サービスを提供する国内初の企業として登録されたことを発表。Naver Cloundは、AIやロボット、自動運転などの技術を開発するNaver Labと協力し、ソウル南部の盆唐に建設中の新たなビルにプライベート5G網を導入したスマートオフィスを立ち上げるという。

原文:Naver Cloud becomes S. Korea’s first operator of ‘private 5G’ network