海外の5G動向【2022年7月度】

総務省が2020年12月18日に受付を開始した「新たな周波数のローカル5G用の無線局免許申請」により、4.6-4.9GHz(Sub-6)及び28.3-29.1GHzの周波数帯が使用可能となったことで、国内でもようやくSA(Stand Alone)Sub-6の実装が加速し始めた。欧米のローカル5G(Private5G)の状況を見ても、空港、大規模工場、工事現場などのように、エリアのある程度の広さがローカル5Gの用件になることが多い(700m程度の伝搬距離が確保できる)。「ローカル」という言葉は局所的・閉鎖的なイメージとして捉えられがちだが、意外と広い領域をカバーするビジネスを想定したほうが現実的なコスト感覚になる。「エリアの広いローカルは魅力的」ということだろう。

以下、2022年7月の世界の5G・ローカル5Gの動向をお伝えする


CommScope、製造業へのプライベート無線網活用でマイクロソフトと協力【The Fast Mode 7/25】

米通信機器メーカーのCommScopeは7月22日、製造業変革のための新たなモバイルアプリケーションや低遅延を実現する垂直型プライベート無線ソリューションの開発でマイクロソフトと提携することを発表した。新たなソリューションは同社の「CBRSアクセスポイント」とマイクロソフトの「Azure プライベートMEC」を組み合わせたもの。すでにCommScopeの製造イノベーション拠点でARアプリケーションやクラウドベースの製造ツールなどに活用されているという。

原文:CommScope, Microsoft to Advance Industrial Manufacturing with Private Wireless Network

ベライゾン・ビジネス、米バージニア港へのプライベート5G導入で合意【Capacity 7/22】

ベライゾン・ビジネスは先ごろ、米バージニア港のメインコンテナターミナルの1つに超広帯域のプライベート5G網を構築することでVirginia International Terminals(VIT)と契約した。新たなプライベート5G網は、コンテナ積み下ろしのための自律走行型トラックなどへの活用が検討されている。

原文:Verizon Business, VIT reach agreement for private 5G network

フランクフルト空港、欧州最大のプライベート5G網構築でNTTと契約【Enterprise IoT Insigts 7/20】

フランクフルト空港を運営するFraportは先ごろ、欧州最大級のローカル5Gキャンパスネットワークの構築でNTTと契約したことを発表した。このプロジェクトは2022年第3四半期に開始予定で、まずは空港の一部エリアでプライベート5G網のテストを実施。2023年以降にはカバー範囲を20平方km以上に拡大する見込みだという。

原文:Frankfurt Airport appoints NTT to deliver “Europe’s largest private 5G network”

インド財閥のアダニグループ、5G周波数帯オークションへの参加意思を表明【Enterprise IoT Insights 7/12】

インドの新興財閥であるアダニグループは先ごろ、インド政府が計画する5G周波数帯オークションに参加する意向を表明。空港や港湾、物流、発電・送電・配電、製造など、自社のビジネスをサポートするローカル無線網の構築やサイバーセキュリティの強化が目的だという。また、同社は5G投資が将来的に教育や医療、能力開発などの慈善活動に役立つ可能性にも言及している。

原文:Indian conglomerate Adani seeks spectrum for 5G private network

エリクソンとクアルコム、仏Thalesと宇宙ベースの5Gのテストを実施へ【Fierce Wireless 7/12】

エリクソンとクアルコム・テクノロジーズ、仏航空宇宙企業のThalesは先ごろ、複数の低軌道衛星を活用した宇宙ベースの5Gのテストを実施する計画を発表した。各社はすでに詳細な調査を行っており、今後はスマートフォンのユースケースにフォーカスした5Gの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Networks)の試験と検証に移行する予定だという。

原文:Ericsson, Qualcomm test space-based 5G with Thales

バーティ・エアテル、インド初のプライベート5Gをボッシュの工場に導入【Total Telecom 7/15】

インド通信大手のバーティ・エアテルは7月15日、国内初のローカル5G網のトライアルに成功したことを発表した。このプライベート5G網は、インド通信当局に割り当てを受けた試験用5G周波数帯を利用して構築されたもの。同社はバンガロールにある独ボッシュの製造施設に品質向上と業務効率化のための2つのユースケースを実装したという。

原文:Airtel deploys India’s first private 5G network with Bosch

シスコ、政府機関向けのプライベート5Gソリューション提供でGDITと提携【Help Net Security 6/30】

米シスコシステムズは先ごろ、米ゼネラル・ダイナミクス傘下のITサービス企業であるGeneral Dynamics Information Technology(GDIT)との協力を拡大し、政府機関向けにプライベート5Gサービスを提供することを発表した。GDITの政府機関向けユースケースに関する幅広いノウハウや理解、サイバーセキュリティやAI、エッジコンピューティング、IoTデバイスに関する専門知識を自社のプライベート5Gサービスと組み合わせ、エンドツーエンドの柔軟なソリューション提供を目指す。

原文:Cisco collaborates with GDIT to deliver private 5G solutions for the government sector

独Umlaut、企業向けのプライベート5Gテスト環境をオープン【RCR Wireless 7/1】

米アクセンチュア傘下の独Umlautは先ごろ、企業が自前の無線網を構築したり、周波数帯を購入する必要なくプライベート5Gソリューションをテストできる新たなテスト環境「5G Campus Lab」をアーヘン(Aachen)の本社に開設した。同拠点では、企業は既存の5Gユースケースの検証、Umlautと協力した新たなソリューションの設計・テスト、同社がすでに対応するユースケース(スマート製造のためのプロセス自動化や予知保全、遠隔医療、デジタルツインのためのリアルタイムARなど)の検討などが可能となる。

原文:Umlaut opens private 5G SA Open RAN test network in Germany

ボーダフォン、チェコ自動車メーカーSkodaの製造現場にプライベート5Gを導入【Enterprise Iot Insights 6/28】

チェコ自動車メーカーのŠkoda Autoは先ごろ、現地のムラダー・ボレスラフにある製造工場にボーダフォンと協力したプライベート5G網の導入を発表した。新たなローカル5G網はスマートファクトリーの実現を目指す同社のマイルストーンの1つで、車体製造現場の予知保全や光学検査など、将来的なイノベーションの道を切り開くものだという。

原文:Vodafone installs 5G private network at Skoda Auto manufacturing plant