海外の5G動向【2022年8月度】

Amazon Web ServiceがPrivate 5G市場に本格参入する。2021年11月にすでに発表していた法人向けローカル5Gサービス「AWS Private 5G」の提供を8月11日に開始した。「AWS Private 5G」は、CBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)周波数帯を利用しており、将来的に5Gにも対応する予定。価格は、設置される無線ユニット(RU)1台につき1時間あたり10ドルとなり、最低利用期間は60日から。各無線ユニットは最大100枚のSIMに対して最大150Mbpsのスループットを提供する。AWSはプライベート無線網のメリットについて「免許不要帯域を使用するWi-Fiが抱えるネットワークの混雑問題を回避できる」そして「無線インタフェースの暗号化やデバイス認証へのSIM使用により、本質的に安全性が高い」としている(関連リンクは後述)。

以下、2022年8月の世界の5G・ローカル5Gの動向をお伝えする


東南アジアのプライベート5G市場、2030年に19億3000万ドル規模に【PRNewswire 8/22】

調査会社Allied Market Researchの新たなレポートによれば、東南アジアのプライベート5G市場の規模は2020年時点で5931万ドル(約80億円)で、2021年〜2030年にかけてCAGR(年平均成長率)41.9%で拡大。2030年には19億3000万ドル(約2640億円)に達すると予想されている。AIおよびその他のスマート接続デバイスの利用拡大、デジタルシフトによる高速インターネットニーズの高まりが成長を促進する一方、セキュリティへの懸念やプライベート5Gソリューション導入コストの高さが市場の成長を抑制する要因もあるとしている。最も成長率が高いのはスマートシティ分野で、2021年〜2030年にかけてCAGR48.3%で拡大すると予想されている。

原文:South East Asia 5G Private Network Market to Reach $1.93 Bn by 2030 at 41.9% CAGR: Allied Market Research

原文:South East Asia 5G Private Network Market to expand annually by 41.9% CAGR from 2021 to next ten years Prediction by AMR

米Viavi Solutions、6G研究を支援する新たなプログラムを発表【Computerweekly 8/18】

米Viavi Solutionsは8月16日、将来の6Gシステムに関する学術・産業界の研究を支援する新たなプログラム「6G Forward」を発表した。このプログラムでは、次世代の無線技術のブレイクスルーにつながる有望な研究に重要な専門知識や技術、資金を提供する。同社はすでに、ノースイースタン大ではワイヤレスIoT研究所(Institute for Wireless Internet of Things)およびOpen6G共同研究センター、テキサス大オースティン校ではワイヤレスネットワーキング通信グループ(Wireless Networking and Communications Group、WNCG)の6G@UT研究センター、そしてサリー大では、5G、5G+および6Gインフラ開発における主要な課題に取り組む5G/6Gイノベーションセンターを支援している。

原文:VIAVI 6G Forward Program Drives Academic and Industry Research

原文:Viavi expands support to 6G research initiatives

原文:Viavi announces 6G academic and industry research programme

Next G Alliance、欧州の6G-IAと将来の6Gシステムに関するMoUを締結【5GPPP 8/10】

米国のNext G Allianceと欧州の6G Smart Networks and Services Industry Association(6G-IA)は8月10日、6G通信システムおよびネットワーク分野での情報交換に関するMoU(協力覚書)を締結した。Next G Allianceは米通信業界団体のAlliance for Telecommunications Industry Solutions(ATIS、電気通信産業ソリューション連合) が創設した6G推進団体。6Gを中心とした民間主導の取り組みを通して、今後10年間の北米の無線通信技術におけるリーダーシップの推進を目指している。一方、6G-IAは次世代ネットワークおよびサービスに関する欧州の産業や研究の代表機関。Beyond 5Gや6Gの研究、標準化、政策や規制、国際協力など幅広い分野で活動を行っている。

原文:Next G Alliance and Europe’s 6G-IA ink MoU on future 6G systems

原文:ATIS’ Next G Alliance and Europe’s 6G Smart Networks and Services Industry Association Announce Memorandum of Understanding

Amazon、「AWS Private 5G」の提供を開始【fiercewireless 8/12】

Amazon Web Serviceは8月11日、2021年11月に発表した法人向けプライベート5Gサービス「AWS Private 5G」の提供を正式に開始した。まずは米国東部(オハイオ州)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン州)の3つのリージョンのAWS顧客向けに提供。将来的に海外市場にも展開していく予定だという。「AWS Private 5G」は、企業が独自のローカル無線網を数日のうちに設計・展開できるサービス。CBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)周波数帯を利用。

原文:New – AWS Private 5G – Build Your Own Private Mobile Network

原文:Amazon launches AWS Private 5G using CBRS

原文:Amazon launches AWS Private 5G so companies can build their own 4G mobile networks

米Kajeetとサムスン、米国でのプライベート5Gネットワークソリューション提供で協力【Mobileworldlive 8/10】

教育機関や自治体、公益事業、図書館、医療機関などに向けたセキュアなプライベート5G網の構築・管理で豊富なノウハウを保有する米Kajeetは8月9日、サムスン電子アメリカとの提携を発表した。Kajeetは自社のプライベート5GプラットフォームをサムスンのCBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)ソリューションと組み合わせ、企業や学校、自治体などに向けて提供する予定。また、米国におけるサムスンのプライベートRANソリューションの正規販売代理店となる。

原文:Kajeet and Samsung Collaborate to Deliver Smart Private 5G Network Solutions

原文:Kajeet partners with Samsung on private 5G networks

原文:Kajeet, Samsung to deliver private 5G network solutions in the US

米国防総省、6G技術の開発・テストを行う新たなハブを援助【Fedscoop 8/2 】

米国防総省のInnovate Beyond 5G(IB5G)プログラムは8月2日、3つの新プロジェクトを開始した。このプロジェクトの1つである「Open 6G」は、Open RANの6Gシステム研究の後押しを目的とした新たな産学連携の取り組み。IB5Gが177万ドルの資金援助を行い、信頼できる拡張機能の開発やテスト、統合のための拠点となるという。同拠点の管理は、ノースイースタン大学のKostas研究所が陸軍研究所と協力して行う。

原文:Three New Projects for DOD’s Innovate Beyond 5G Program

原文:Pentagon backs new hub for developing, testing 6G technology

原文:DOD Launches 6G R&D Center as it Eyes Transition to NextG Wireless Tech

ボーダフォンとエリクソン、プライベート5G網向けの先制サポートサービスを開始【RCrwireless 8/2】

エリクソンとボーダフォンは8月2日、ローカル5G網向けの新たな先制サポートサービス「Service Continuity」を開始。人工知能(AI)と機械学習(ML)を活用したこのサービスはまず、Foxconnのハンガリー工場で生産効率の向上に役立てられる見込み。「Service Continuity」は両社が共同開発したソリューションで、ネットワークのパフォーマンス低下につながる要因を先回りして察知するなど、潜在的なインシデントの予測や早期発見、予防を可能にするもの。製造現場の運用・保守の作業負荷を軽減し、設置された機器の利用率を高めることで、設備投資に対するリターンを向上させるという。

原文:Vodafone, Ericsson Launch Preemptive Support Service for Private 5G Networks using AI & ML

原文:Ericsson, Vodafone unveil private 5G network software

原文:Ericsson, Vodafone offer service continuity for private networks

中国Vivo、新たな6Gホワイトペーパーを公開【Pandaily 7/28】

中国のVivoは7月27日、6Gに関するホワイトペーパー第3弾「6G Services, Capabilities and Enabling Technologies」を公開。同レポートは、ViVoの専門家が2030年以降の人々の生活を形成すると考える6Gのフレームワークおよび実現技術について解説している。最新のホワイトペーパーは、同社が2020年に公開した2つのホワイトペーパー「Digital Life 2030+」および「6G Vision, Requirements and Challenges」を土台にしたもの
今回のホワイトペーパーでは、6Gが通信、コンピューテーション、センシングを単一のシステムに統合すると分析。統合された6G網が人と人だけでなく、人と機械、機械と機械をつなぎ、まったく新たなデジタル世界の創造を支援するとし、2030年には数千億のデバイスが接続されると予想している。

原文:vivo Releases Third 6G White Paper: 6G Services, Capabilities and Enabling Technologies

原文:Vivo Showcases Four 6G Prototypes