海外の5G動向【2022年9月度】
スウェーデンのエリクソンは8月30日、世界モバイル通信市場の動向に関する「Ericsson Mobility Report」の最新版をリリースした(関連リンクは後述)。ここでは直近の携帯通信市場のトレンドに関して様々な興味深い数字が紹介されている。
(1)世界では現在、218の通信サービス事業者が商用5Gサービスを提供しており、このうち24社がスタンドアロン(SA)方式の商用5G網を展開している。
(2)世界の4G契約数は2022年第2四半期同期に7,700万件増加して約50億件に到達。モバイル契約全体の60%を占めている。
(3)世界のモバイル契約数は2022年第2四半期末時点で83億件で、前期から5200万件の純増となった。国別の契約純増数では、中国が約1,000万件と最も増加しており、インドが約700万件、インドネシアが約400万件と続いている。
(4)世界のモバイルデータトラフィックは2021年第2四半期から2022第2四半期にかけて39%増加。月間では100エクサバイトに達した、等、非常に読みどころの多いレポートになっているので注目しておきたい。
以下、2022年9月の世界の5G・ローカル5Gの動向をお伝えする
LG、6G向けテラヘルツ波のデータ送受信実験で新たなマイルストーンを達成【fiercewireless 9/16】
韓国のLG電子は先ごろ、6Gでの活用が期待されるテラヘルツ波(155GHz〜175GHz)を用いて、屋外環境で320mの通信距離での無線データ送受信実験に成功したと発表した。同社はすでに2021年8月、屋外100mの距離でのテラヘルツ無線通信に成功していたが、今回の実験は9月7日、ドイツ・ベルリンのフラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所(HHI)で実施されたもの。超広帯域周波数を利用する6Gは、到達距離が非常に短く、送信から受信までの間に大きな電力喪失が発生する。このため、LGとフラウンホーファーHHI、フラウンホーファー応用固体物理学研究所(IAF)は、送信強度を高めるパワーアップと受信信号の品質を向上させる受信用低ノイズアンプを共同開発した。今回実験が行われた320mという距離は、都市部でのマクロセル用基地局の基準セルカバレッジである約250mを上回る。
原文:LG Showcases Leadership in Next-Gen 6G THz Band Demonstration
原文:LG claims win with 6G terahertz test in Germany
原文:LG Records 6G THz Band Milestone
米コーク・インダストリーズ、ローカル5G向けセキュリティのOne Layerに投資【prnewswire 9/15】
米複合企業のコーク・インダストリーズは先ごろ、プライベートLTE/プライベート5G向けのセキュリティソリューションを手がけるイスラエルのOne Layerに650万ドルを投資した。同グループは2021年1月にNetwork as a service分野のスタートアップである米Alkiraに投資していたほか、今年始めにはコアネットワークやOpen RANソフトウェアを手がける米Mavenirに5億ドルを投資するなど、ローカル無線関連の投資を続けている。コーク・インダストリーズは世界最大級の非上場企業で2021年の推定売上は1150億ドル(約16兆5,000億円)。ガラスや紙、プラスチック、自動車部品の製造会社からエネルギー、物流、商品取引関連企業まで幅広いグループ企業を所有。Amazon Web Serviceが2021年、法人向けローカル5Gサービス「AWS Private 5G」を発表した際には、Mavenirとともに5Gパートナーとして名前を挙げられていた。
原文:OneLayer to Secure Koch Industries Private Cellular Network Site Alongside $6.5M Investment
原文:Koch continues telco march with OneLayer investment
原文:AWS Announces AWS Private 5G
原文:Enterprise Grade Security Dedicated to Private LTE/5G Networks
中国のメガコンステレーション計画に関わるGalaxy Space、新たな調達で評価額は2,000億円超え【spacenews 9/9】
北京に本拠地を置く衛星インターネット企業のGalaxy Spaceは9月7日、新たな資金調達の完了を発表した。調達額は明かされていないものの、同社の評価額は11億元(約2,270億円)に達したという。Galaxy Spaceは2016年に設立された衛星インターネット企業。今年3月に6基の低軌道(LEO)ブロードバンド通信衛星の打ち上げに成功しており、「Mini-Spider Constellation」と呼ばれる実験的衛星インターネット網を構築。2023年には、フラットパネルアンテナとフレキシブルソーラーアレイを搭載した初の衛星の打ち上げを計画しているが、現時点ですでに、中国初のLEOブロードバンド通信衛星と地上プライベート5G網の融合テストを含む様々な衛星インターネットアプリケーションの検証を完了している。同社は新たな資金を衛星インターネット関連技術の研究開発や商業アプリケーションの開発に費やす見込み。
原文:Private Chinese satellite internet firm GalaxySpace secures major new funding
原文:Chinese Commercial Aerospace Firm GalaxySpace Bags New Round of Financing
世界の5G契約数、約6億9000万件に到達【Ericsson 8/30】
スウェーデンのエリクソンは8月30日、世界モバイル通信市場の動向に関する「Ericsson Mobility Report」の最新版をリリース。同レポートによれば、世界の5G契約数は2022年第2四半期に約7,000万件増加し、同四半期末時点で6億9,000万件に達したという。
原文:Ericsson Mobility Report: 5G almost topped 700 million global subscriptions in Q2, 2022
原文:Carriers add nearly 70 million 5G subs globally in Q2: Ericsson