海外の5G動向【2022年11月度】

米BetacomがQualcomm Technologiesとの提携を発表した。
https://www.betacom.com/news/betacom-collaborates-with-qualcomm-to-accelerate-enterprise-adoption-of-private-5g-networks-for-industry-4-0/
米国企業のローカル5G実装を加速させるのが目的だ。Betacomの5G as a Service(5GSaaS)が主力商品だ。Betacomは現在、3.5GHz帯のCBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)周波数帯を利用してエンタープライズ向けにローカル無線サービスを提供している。一方、Qualcommはネットワークの配備や自動化、管理ソフトウェアプラットフォーム機能を提供するイスラエル企業のCellwizeを買収し、5Gインフラソリューション分野を強化していた。このように、ローカル5GをSaaSとして提供する動きは今後加速しそうだ。

以下、2022年11月の世界の5G・ローカル5G(および6G)の動向をお伝えする


中国政府、国有航空機メーカーに国内初のプライベート5Gライセンスを付与【chinadaily 11/21】

中国政府が先ごろ、国内初のローカル5Gライセンスを国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)に付与したという話を現地のChina Dailyが報道。「5G plus industrial intenet(5Gと産業用インターネット)」の用途拡大を目指す政府の幅広い取り組みの一環だという。同媒体によれば、中国工業情報化部(MIIT)は11月27日、湖北省武漢市で開催された「2022 China 5G plus Industrial Internet Conference」の中で、COMACへの企業向けプライベート5Gライセンスの付与を発表。割り当てられる帯域は産業向けの5.925〜6.125MHzおよび24.750〜25.15GHzで、高速接続・低遅延が特徴とのこと。COMACは2008年に設立された中国唯一の国産ジェット機メーカー。同国初の国産単通路旅客機「C919」の開発で知られている。中国政府は、同社へのローカル5Gライセンス付与により、航空機製造現場へのAI・ロボットなどの最新技術の導入促進を期待しているという。MIITのZhang Yunming副部長は「5G plus industrial internetの革新的な発展により、企業は品質の向上やコストの削減、効率の向上、グリーンで安全な開発を促進することができる」とコメントしている。

原文:https://www.chinadaily.com.cn/a/202211/21/WS637b33aea31049175432afed.html

原文:https://totaltele.com/chinas-first-private-5g-licence-goes-to-aircraft-manufacturer/

原文:https://www.datacenterdynamics.com/en/news/chinese-government-grants-private-5g-license-to-aircraft-manufacturer/

エリクソン、英国での6G研究プロジェクトを発表【Ericsson 11/22】

スウェーデンのエリクソンは11月22日、英国を拠点とする新たな6G研究開発プロジェクトを発表した。同社はネットワーク・レジリエンスやセキュリティ、AI、コグニティブ・ネットワーク、ネットワーク効率などの研究分野に、今後10年間で数千万ポンドを投資する計画だという。同社は新たな取り組みで20人の専任研究員を雇用する見込み。また、研究をサポートする博士課程の学生への支援も計画しているとのこと。まずは6Gネットワークキングおよびハードウェア・セキュリティの研究にフォーカスしていくという。エリクソンUKおよびアイルランドのCEOを務めるKatherine Ainley氏は、今回のプロジェクトでサリー大学やブリストル大学、マンチェスター大学と提携する可能性に言及。「共同研究から商用技術の開発まで通常は8〜10年がかかる」との見通しを示している。エリクソンは今年10月、欧州連合(EU)の6G研究プロジェクトの第2フェーズである「Hexa-X-II」に携わることを発表。同プロジェクトはノキアがプロジェクトリーダーとなっているが、エリクソンはテクニカルマネージャーを務めることになっていた。

原文:https://www.ericsson.com/en/press-releases/3/2022/ericsson-in-multi-million-gbp-6g-research-program-investment-in-the-uk

原文:https://www.rcrwireless.com/20221122/6g/ericsson-announces-6g-research-project-for-uk

原文:https://www.reuters.com/technology/ericsson-invest-6g-network-research-britain-2022-11-22/

インド政府、将来の6G向け周波数帯の試験的開放を検討【rcrwireless 11/10】

インド通信省電気通信局(DOT)が現在、将来の6G技術や製品の開発に役立てるため、95GHz〜3THzの周波数帯を試験用に無償開放する可能性を探っているとの話を現地紙のThe Economic Timesが報道。同局はこの可能性を分析するため、同分野の規制当局にコメントを求める予定だという。同紙の情報筋によれば、DOTは95Ghz〜3THzの活用についてインド電気通信規制委員会(Telecom Regulatory Authority of India、TRAI)にアドバイスを求める予定で、実験目的の周波数帯の割当は今後10年間になる見込みだという。具体的には、学術機関や研究機関、民間企業が標準化前のプロセスで研究を実施するために試験用ライセンスを取得し、衛星通信と地上ネットワークを融合したソリューション/製品の開発に取り組む可能性があるとのこと。95Ghz〜3THzは世界各国で6G網への活用が検討されており、米連邦通信委員会(FCC)も今年初め、同周波数帯を実験目的で10年間利用できる「Spectrum Horizons License」の発行を開始していた。

原文:https://www.rcrwireless.com/20221110/6g/india-starts-analyzing-frequencies-future-6g-systems-report

原文:https://telecom.economictimes.indiatimes.com/news/government-to-open-up-95-ghz-3-thz-spectrum-band-for-6g-related-experimental-use/95422226

SES 、台湾政府の災害対応プライベート5Gをサポート【fiercewireless 11/7】

人工衛星の保有・運用を行う多国籍企業のSESは先ごろ、災害対応のプライベート5G網構築に関する台湾政府との取り組みについて発表した。自社の中軌道衛星群とMicrosoft Azure、OEMメーカー/Open RANベンダーのPegatronの技術を組み合わせ、台湾の新竹消防署にプライベート5G通信を提供するデモを実施したという。
この取り組みは、地震などの大規模災害時に通常のネットワークがダウンした際、政府機関向けのクラウドサービスへのアクセスを迅速に復旧させるソリューションを求める台湾政府の要請に答えたもの。緊急時に利用できる高速・低遅延の通信システムの構築が目的だという。
今回のデモでは、衛星を活用したローカル5G網構築に必要な通信機器をトラックに搭載。緊急車両と地元の消防署間でのMicrosoft Teamsによるリアルタイム通信、車両と市役所間のクラウドを介した4K動画伝送などに成功。フォワードパスおよびリターンパスでの50Mbpsのデータスループット、185ミリ秒以下のネットワーク・レイテンシーを実現したという。

原文:https://www.ses.com/blog/taiwan-taps-private-5g-disaster-recovery

原文:https://www.fiercewireless.com/private-wireless/ses-supports-private-5g-edge-microsoft-taiwan

ブラジル国立通信研究所と台湾の陽明交通大学、6G研究で提携【plataformamedia 11/1】

ブラジルの教育、研究および技術開発拠点であるブラジル国立通信研究所(Inatel)と台湾の国立陽明交通大学(NYCU)は10月21日、6G研究に関する国際協力協定の締結を発表した。
NYCUの声明によれば、今回の協定の目的は6G関連のオープンソース技術の開発に焦点を当てることだという。同大学からは約20名の研究者グループが参加し、6Gが倫理問題や社会の発展に与える影響についても分析が行われる見込み。NYCUのLin Qihong校長は「今回の協定は、6Gモバイル通信分野における台湾の強みを示すもので、国際的な産学連携の影響力を高めることになる」とコメント。今回の協定締結後、同大学はブラジルの主要研究機関と国境を超えた協力関係を深めていくという。6G研究については10月7日、フィンランドのノキアがEUの6G研究プロジェクトの第2フェーズである「Hexa-X-II」を主導することを発表。また、ドイツテレコムも同国の連邦教育研究省が資金援助する「6G-TakeOff」研究プロジェクトを主導している。

原文:https://www.bnamericas.com/en/news/inatel-and-taiwan-university-sign-partnership-to-develop-6g-research

原文:https://www.plataformamedia.com/en/2022/10/27/technology-brazilian-institute-and-taiwan-university-study-6g/

原文:https://www.fiercewireless.com/tech/deutsche-telekom-kicks-6g-research-project