海外の5G動向【2023年2月度】
ノキア、NTTドコモ、日本電信電話株式会社は、6Gにおける2つの重要な技術開発に成功したと発表した。
https://www.nokia.com/ja_jp/about-us/news/releases/2023/02/15/nokia-docomo-and-ntt-make-two-key-6g-advances/
6G無線への学習機能の搭載、そして通信容量を劇的に向上させる技術だ。言うまでもなく、これはローカル5Gのミリ波(=ほぼテラヘルツ波とみなすことができる)の実装研究が着々と進展していることを意味する。ミリ波は屋内、特に工場などでの実装でその本領を発揮することが想定されているが、ドイツが推進するIndustry4.0における工場内での通信はSub6が中心だ。ここに日本のベンダーのチャンスがあると思われる。ミリ波を駆使するIndustryの形がイメージできるのはおそらく日本と米国のみだからだ。キャリア5Gはメタバースなどの魅力的なアプリケーションとのカップリングが急務だが、ローカル5Gについていえば、改めて“工場”そしてFA分野をミリ波で攻めるべき時期に来た、と言える。
以下、2023年2月の世界の5G・ローカル5G(および6G)の動向をお伝えする。
ベライゾンとKPMG、ヘルスケア業界向けプライベート5Gソリューションで協力【lightreading 2/23】
ベライゾン・ビジネスとKPMGはベライゾンのローカル5G網をKPMGのイノベーションセンター「KPMG Lakehouse」に導入する。ヘルスケアおよびライフサイエンス業界向けの5Gソリューションにおける両社の協力関係の強化が目的だ。KPMGは「Lakehouse」内のイグニション・センターにプライベート5Gを導入。顧客が最新のヘルスケアテクノロジーを体験できるヘルスケア・ラボを構築する。同ラボでは、AIおよびコンピュータービジョンによる画像解析、手術計画のためのAR/VR、持続可能な建物の実現、健康の公平性のギャップを埋めるためのテクノロジーの活用といったイノベーションやテーマの研究が進められる。ベライゾン・ビジネスで5Gアクセラレーション担当SVPを務めるJennifer Artley氏は「ベライゾンの5Gに関するノウハウと、KPMGの業務プロセス改善に関する豊富な業界経験や実績を組み合わせることで、時代遅れの病院環境とデジタル事業運営のギャップを埋め、エンドツーエンドのデジタルエンタープライズの価値を引き出す最先端のソリューションを提供していく」とコメントしている。
LG CNS、プライベート5Gサービス開発で韓国私大と提携【rcrwireless 2/20】
韓国LGグループのITサービス部門であるLG CNSと現地の慶熙(キョンヒ)大学は先ごろ、ローカル5Gサービスのための技術開発に関するMoU(協力覚書)を締結した。新たなローカル5Gサービスは「e-Um」と呼ばれ、製造業および物流業の顧客を想定しているという。LG CNSによれば、両者はスマートファクトリーのロボットやベルトコンベアに搭載されたモーターの電流や温度、振動などのデータの収集するためのトライアルを計画しているとのこと。その後、AIを活用してこれらのデータを分析する予定だ。LG CNSは2022年12月、慶熙大学に5Gネットワークシステムを構築し、5Gコアシステムも初めて導入していた。また、同社は同大学の5G網を拡大し、周辺地域の無人航空機や無人搬送車、自律移動ロボットを遠隔制御・監視可能にする計画も明かしていた。同社のクラウド事業を率いるKim Tae-hoon氏は「製造や物流など、あらゆる産業の現場で活用できるよう5Gの汎用性を高め、これによって顧客志向の事業競争力を高める計画です」とコメントしている。
原文:https://www.rcrwireless.com/20230220/private-5g/lg-cns-inks-partnership-develop-private-5g-services
原文:https://www.koreaherald.com/view.php?ud=20230216000698
原文:https://www.koreatimes.co.kr/www/tech/2023/02/129_345590.html
ノキア、ローカルLTE/5Gテスト施設の機能を拡張【sdxcentral 2/10】
フィンランドのノキアは2月8日、「Lab-as-a-Service(LaaS)」ソリューションを提供する同社のローカルLTE/5Gテストラボ施設の機能を拡張することを発表した。これにより、企業は自社の利用する産業用機器やサードパーティ製機器と、ノキアの2つのローカル無線ソリューション「Digital Automation Cloud (DAC)」および「Modular Private Wireless(MPW)」の相互接続性をテスト可能になるという。新たなテスト機能で、企業は自社施設の産業用機器がDACおよびMPWネットワーク上でどのように機能し、Industry4.0ユースケースがどのように動作するかを評価・検証できるとのこと。ノキアは現在、米国と欧州、日本、韓国のテスト施設でLaaSソリューションを提供。また、新たにインドのバンガロールでも同ソリューションを提供するテストラボの開設を予定している。GlobalData社の主席アナリストであるKitty Weldon氏は「ノキアの拡張されたLaaSソリューションは、ローカル無線網の導入を検討しているものの、コストや複雑さ、デバイス性能などに懸念を抱いている企業にとって特にメリットがある」とコメントしている。
原文:https://www.sdxcentral.com/articles/analysis/nokia-plugs-private-5g-tests-into-labs/2023/02/
通信事業者の5G収入は2027年に6,250億ドルに(Juniper Research報告書)【computerweekly 2/6】
調査会社Juniper Researchは2月6日、通信事業者の収益戦略や注目技術に関する新たな報告書「Operator Revenue Strategies: Business Models, Emerging Technologies & Market Forecasts 2023-2027」をリリース。世界の通信事業者が5Gサービスから生み出す収入が、2023年の3,100億ドルから2027年までに約2倍の6,250億ドルに拡大するとの予測を明らかにした。同レポートによれば、モバイル契約の5Gへの移行、ノートパソコンやモバイルWi-FiなどのデバイスへのeSIM搭載の増加が各社の5G収入拡大を牽引するとのこと。5G収入は2027年までに世界の通信事業者の請求サービス収入の80%を占めるようになり、これにより各社は5Gインフラ投資へのリターンを確保できる見込みだという。レポートの著者であるFrederick Savage氏は「eSIM対応デバイスはモバイルデータの大幅な成長を促進します。消費者がこれまで固定通信網を使用していたユースケースに携帯通信網を活用するようになるためです」とコメント。「通信事業者は5Gや将来の6G網を含め、ネットワーク全体に新たな技術を導入することで、将来を見据えたネットワークを整備する必要があります」としている。一方、Juniper Reseachは6Gの標準仕様について、モバイルデータの将来的な需要増に備えるために、現在の5Gで使用されていない革新的な技術を採用する必要性にも言及。重要技術としてNTN(非地上系ネットワーク)やサブ1THz周波数帯を挙げている。